救いようの無かったオーストラリア米

昨年の秋頃に試しに入手したオーストラリア米、結果は散々でした。
単にハズレを引いただけなのかもしれないのですが、どうやっても美味しく炊けず。
圧力鍋で炊くと、どんなお米でも美味しくなる傾向だと自分は信じていて、実際にほとんどはその通りになっていました。
しかし、オーストラリア米だけは例外だった感です。

非常食のお米とかで「アルファ米」とかあったりします。基本はでんぷん質な柔らかさというか芯が残っていない状態というか。
あまりにも柔らかいと食感が悪かったりするのですけれど、芯が残っているのは論外だよなぁと。
あと、噛めば噛むほど甘くなるのが良いお米の基準だとも思っていますし、上手く炊けていたらそんなに噛まなくても最初から美味しかったり。
そんな部分で、オーストラリア米はどうにもなりませんでした。
あれは、別の食べ物だと思った方が良いのかも知れません。

これまで、火加減とか水の量とか色々試していたんです。たまにはソコソコイケるかな?と思うのもありました。炊き立てですと。
しかし、そのスイートスポットな範囲はかなり狭く。炊く前に水に漬けておく時間までやや長めだったり。前処理とか水温とか火力とか水の量とか、僅かな差で急激な変化。
炊き立てではソコソコイケても、少し時間が経つと硬くなったりパサパサしたり芯がでてきたり。
カレーライス用なら相性良いかな?と試しても、何か違う感。ドリア用ではまぁ許される範囲でしたが、これだったらポテト(グラタン)でも一緒でした。

数日前に2㎏の国産米を購入しました。5kgのオーストラリア米もあと少し残ってはいましたが、これ以上努力しても無駄だなぁと。
新型コロナウイルスの一連の流れでお米も店頭から品薄になりかけていまして。久し振りに買ってみるかと。今度は今までの国産米で。
これがテキトーに圧力鍋で炊いただけでも美味しく。何じゃこりゃ?でした。炊き立てから最高です。冷えても美味しく、永谷園のお茶漬けで頂いても幸福感。

最強の組み合わせは、炊き立てのご飯に焼いたばかりの塩鮭の組み合わせでした。シンプルな調理なのに、手間暇掛けた料理より美味しく。
何だか、日本人に生まれてきて良かったなぁと。

この感覚、以前に何処かで味わったなぁとも。
オランダで三ヵ月暮らした終わりの頃、仕事繋がりで日本人の奥さんを持つご家庭で夕食をご馳走になったんです。
その際、郷里から送られてきたお米とお味噌と梅干で夕食を頂いたのですが、強烈に美味しく。現地で入手できる食材では再現出来ないとの話でした。
他で頂いた和食系は「なんじゃこりゃ」系とか「何か違う」ばかりで。お米を洗剤で洗ったのか?と思える味もあれば、全くパサパサなのもあれば。
オランダのど田舎でもチャイニーズレストラン(中華料理屋)はだいたい何処でもあるもので、和食も扱ったりしていました。しかし、自分からすると「うどん」も中華料理の味でしか無く。
何かのトーク番組でアグネス・チャンさんが似たようなことを言っていました。アグネスさんが作る料理は和食でも中華風になってしまうと旦那さんが漏らすと。

オーストラリア米のために弁明しておきますが、幼少期に経験した食感とかが後に響くパターンもあるようです。
商社勤務の頃に同僚だったベトナム出身のTさんは、日本の御飯が苦手だったそうで。なんでも、ベトナムでお米を頂く際は御粥のような食べ方が基本だったらしく、日本の御飯は喉を通り難いそうで。
これはちと新鮮な発言でした。ベトナム難民船で九死に一生を得たTさんは我慢強く、不平など漏らす場面はほとんど無かったですから。
難民船といっても、それに乗れる方は限られた富裕層が多かったそうです(そこら辺の事情を綴るとまた長くなってしまいます)。
大学時代、東北出身の謎のおばちゃんが作ってくれたお雑煮は、煮込んだ汁とお餅が融合して見た目はドロドロ。この食感はその場に居た誰もが苦痛でしたが、おばちゃん曰く「東北の食べ方」だそうで(料理の経験が乏しかっただけかと思われるのですが)。

話を戻さねば。
日本米の二度目の炊きで一緒に頂いた塩鮭、鮭とか庶民価格だった魚は随分と高価になってしまったものだなぁと。秋刀魚も昨秋は不漁で高価だったとも。
ただ、魚の売り場は旬の品ほど安かったりしますし、自分で調理したことのなかった類も挑戦してみようかなと。
美味しいお米というか御飯に、旬の幸の組み合わせは最強に違いないと。

あと、鮭についても綴っておかねば。
一般的な塩鮭はパサパサな食感です。これも慣れてしまったのでそれはそれで美味しいです。お茶漬けには良く合う感です。
しかし、秋口に海で採れたばかりの鮭は強烈に脂が乗っていて、別次元の美味しさでした。
以前に道東方面を旅行した際、漁港で採れたての鮭が破格で売られていました。一匹150円(一切れでは無く一匹です。ちと信じ難い話ですけれど、証拠写真を後日漁ってみます)。
一緒に旅を続けていた友人と「これは大丈夫なのか?」と話し合っていたところ、制服姿のお巡りさんが十匹以上まとめ買い。
地元の人でも買うのであれば「間違いないだろう」と二匹入手しました。ただ、発泡スチロールの容器と氷で更に千円ほど取られましたが、それでも十分に安く。
実家の千歳に戻り、友人と一匹ずつ分け合って帰宅。自分の母はその一匹をサバくのに包丁をボロボロにしてしまったそうです。
しかし、その鮭は全く別次元の美味しさでした。川を遡上する前の採れ立ての鮭は別モノというか、どんな調理でも美味しく笑いながらの食卓で。
高校時代に漁師さんが採れたての「うに」をパカッと割って豪快な「うに丼」を振舞ってくれたこともあったのですが、あれも市販の「うに」とは別次元でした。甘いクリームそのもので。
旬の幸も偉いですけれど、採れたては更に凄く。

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