怪我の多い男

地方暮らしで、お正月の里帰り途中で我が家に寄ってくれる友人が居るのですが、今度は単車でコケて顔を二十針縫ったそうです。
Vespaと大型バイクを乗りこなす友人は以前の職場の同僚でもあり、気の合う友人。非常に口の悪い男なのですが、何故か自分とは話が合ってしまい。
意見が自分とは正反対の時もあるのですけれど、話せば分かるし、その豪快な発想が可笑しくて笑えたり。

その友人、数年前には登山中に滑落し脚を複雑骨折。このときはヘリで救助されたそうで「(ヘリがやって来た時は)頼もしかった」との弁。
同型のヘリは数ヵ月後の訓練中に墜落したり、去年は富士山を登山中の男性が滑落して死亡するまでを実況中継していたり。
その度に奴は強運の持ち主だったのかもなぁと。

今回の単車の事故、詳しい事は聴いていませんが「大丈夫か?」の返信は「もう五十を過ぎたから(顔の傷など)気にしない」との弁でした。
しかし、「そんな心構えでは悪役レスラーの様になっちまうぞ」と返したところ、素直に応じていました。
だいたい、奴もまだ結婚していないし大手企業勤めなので転勤も多く、見た目は少しくらい気にした方が良いかと。
詳しい話は次の正月にでも聴いてみたいところですが、前回の転勤で長州の領地(県名を忘れました)に飛ばされたそうで、次の里帰り自体難しいかもと話していて。

奴と一緒だった研究開発部門には同期が十名ほど居たのですが、単車の大型免許を所有していた割合が異常に高く。何かの偶然だったのか。
当時の免許制度では単車の大型免許は教習所で取得できず、試験場での一発免許で取るしか無くけっこう難関だったらしく。
同期達は大学時代に免許を取得して凄まじいパワーの単車に乗っていたそうで。レーサーレプリカな逆輸入車をフルパワーで走行しているとヘルメット越しの「視界が点になる」らしく。
東北大学出身の同期はV-MAXというこれまた凄まじい単車に学生時代から乗っていたものの、普段の移動は小さなモンキーで。
ある日、そのモンキーで夜道を走っていたところ、暴走族風な連中に囲まれたそうです。単車を奪い取られそうな流れだったのですが、奴は空手部所属で単車から降りてヘルメットを脱ぐとモヒカン刈り。そしてレスラー体型。
暴走族風の連中から何か宥めるような言葉が出てきて勝手に退散してしまったそうです。
何ともワイルド。

話が逸れたついでに。
自分も若い頃は大型バイクにちと興味ありました。ただ、車検が必要なので維持費が高く。何よりも路上に出るまでの取り回しが大きい単車ほど面倒臭く。
特に単車の路駐が厳罰化されてから、大きな車体ほど街中の置き場に困る状況で。
250㏄くらいが自分には丁度良く、そのクラスばかり乗り続けています。下道しか走らないのであれば100㏄のVespaが一番扱いやすかったですし、大型バイクに乗っていた連中ほど手放した後は単車とオサラバしてしまうパターンが多く。
大型バイクほど高速走行時の安定性は良いそうなのですけれど、歳や経験のせいかここ数年単車での高速走行自体、自分は怖くなってしまっていて。
大昔は最高速アタックみたいなことも平気でやっていたのですけれど、沢山の事故を観てきてしまうと「明日は我が身」な心境も濃くなってしまうのかな。単車の事故現場って、肉体が剥き出しなだけにけっこう悲惨で。

今回二十針縫った男は、ひょっとしたら体力とか精神力の衰えを自分で認められないのかもしれないなぁと、これを綴りつつ思ったりです。
他の人がそれを指摘しても奴は認めそうも無いだろうし、自分から言った方が良いかもしれないなぁと。
実際、奴に死なれたら自分もかなり辛いし。

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