Ron Carter

JazzベーシストのRon Carterさんについてです。
自分がJazzを聴くようになった高校生時代、サントリーのCMでも登場していたRonさんはJazzに詳しくない人にも人気があった様子でした。
大きなウッドベースにも負けない長身で、知性を感じる雰囲気で淡々と楽器を慣らし。

自分も当時、Ronさんの企画もののCDを一枚入手したのですが「あれ?」って感じでした。
何だか求めていたのとは異なる演奏ばかり収録されていて。それに音程がハッキリしないせいか、何だか気持ち悪く。
自分より二年早く東京に上京していた兄も、同じアルバムを持っていて、同じ感想でした。
(自分の聴いた範囲で、ベーシストが前面に出てきて上手く行ったのはスラップ奏法が生まれてからとか、Jaco Pastoriusのような天才が登場した70年代以降からなのかなぁと)

ただ、高校生時代に聴いていたMiles Davisの古いアルバムでリズム陣に撤するRonの演奏は見事な感でした。
特にMilesのバンドではサイドメンとして登場している演奏者が、かなり良い出来なのが多い感です。Wynton KellyもHank MobleyもMilesバンドでの録音が一番好きだったりです。

大学時代まで愛読していた月刊誌にJazz Lifeというのがありました。現在でも発行されているそうですけれど、もう何十年も読んでいなくて。
そのJazz Lifeには現役ミュージシャンのコラムも載っていたりで、過去に興味深い記事が。
日本人の著名なベーシストのコラムだったのですが、その記事は相当の怒りに満ちた文章でした。
「あいつ、またやりらがった!」な感で、屋外コンサートで自分の大切なベースが勝手に使われてしまったそうです。
どうして気が付いたかというと、ベースをケースに仕舞う際に指板を布で包むそうなのですが、その包み方が自分のやり方と違ったそうで。
どうして使われてしまったのかも察しがついたそうです。雨の屋外コンサートで奴は自分の高価な楽器を濡らしたくなかったから。
何でも、奴は年代物の貴重なベースを普段使用していて、水で濡らすようなマネは絶対にしなかったそうです。
奴は日本でも人気で過去には偉大なミュージシャンと歴史的名盤を録音していて。
どうにも日本人は格下に観られているのか、被害者は何人も居る。

そんな文章だった記憶です。
実名は避けられていたものの、思い当たるのはRon Carterしか居ませんでした。(自分の狭い知識で勘違いの危険性も十分にあるのですが)
人間性というものは、アーティストの力量とは全く別物なんだなぁと。
ともかく、専門誌の当事者じゃないと綴れない話題だと思いますし、これがメジャーな新聞紙でしたらボツになる記事だったんだろうと思います。

話が飛ぶのですが、Milesが1964年に日本公演で残したアルバム”Miles in Tokyo“が自分はけっこう好きです。
このアルバムくらいにしか参加しなかったサックス奏者Sam Riversの演奏をボロカスに言う方も居たりなのですけれど、そのソロも自分は好きだったりです。
Herbie Hancock等も参加していて、かなり豪華な顔触れでした。
いま、そのアルバムを聴きながら綴っていたところでした。

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