農薬の話

またしても農薬の話題です。
ともかく悪いイメージの農薬ではありますが、これを使わないことには植物はまともに育たないという結論に至った園芸生活四年目です。
大昔から使われていた農薬は、恐らくそれほど危険ではないイメージです。元々自然界に存在していたモノの範囲に思われて。
怖そうなのは近代になって作られた化学合成農薬系かと思われます。使用後は時間とともに無害な物質に分解されると謳われる部類も、国によっては使用禁止だったりしている様子で。除草剤にはそんなモノも実際あります。

少し前の記事と重複しますが、その辺が比較的安全とされていた石灰硫黄合剤は家庭向けの少量で既に販売されていなかったりで。
代替品はどうにも化学合成系が一般的な様です。オーソサイド水和剤が特に現状で抱えている問題に効果がありそうでした。
現状の問題とは桃や梅の木の縮葉病です。桃の木は枝の上の方ほど枯れてきてしまった中、下の方から何とか伸びてきた枝だったのですが、その枝からせっかく生えてきた葉もヨレヨレの縮葉病で。
自分が引っ越してくる前から裏庭で育っていた梅の木がどうやら問題の発生源の様子で、この木は縮葉病以外もカイガラムシやアブラムシでテンテコ舞状況でした。
その梅の木は既に大きく成長していまして、この季節は大量の葉も付けており、今から何か対応しても無駄そうです。冬になって葉が落ちてからの対応が基本らしく。
他にも芝生の枯れとかも発生しています。これも日照不足だけの問題では無いのかも知れず。

化学的な点からも農薬について考えてみました。仕事で九年ほど無機化学の分析装置を扱っていたので、少しは知識もあります。
人が安全に口に入れているものであっても、過剰に取り入れるとそれは健康に悪影響があったりです。例えば水も塩も。
水だけがぶ飲みでも問題はあるそうで、塩の過剰摂取も当然問題があり。戦時中の自害方法の一つに醤油のがぶ飲みという手段もあったそうで。
何でも過剰接種が危険なのは明らかで。

で、心配される合成された物質についてです。
例えば、臭素酸です。臭素酸は発がん性が疑われており、水道法という基準の中でも許される含有量が定められています。
細かな単位を忘れてしまったのですが、10ppbとかの相当薄いレベル以下の含有量しか水道水には許されないそうで。
10ppbというのは1Lの水にターゲットの物質が0.01mg含まれるという濃度です。小さじ一杯の塩は約1g程度なので、それの一万分の一という極僅かな量です。
それを分析する装置は可能であれば0.1ppbくらい測れる精度が求められるのですが、装置のコンディションが維持されていないとけっこう厳しく。
某社の食パンに発がん性の臭素酸カリウムが含まれていたというのがWebで時々話題になっていたのですが、どれだけの量が含まれていたのか以前調べたところ、0.5ppbよりも小さいレベルだった記憶です。
高精度な専用の分析装置でも測れるか測れないかの限界な薄さです。仮にそれだけ含まれていたとしてもほぼ問題無いレベルかと思っています。
逆にそんな僅かなレベルでも公表していたメーカーの姿勢を評価すべきでは無いのかなぁと思ったりです。
数年前に検索した際に某社では既に臭素酸カリウムを使用していないと綴られていたのですが、いま再検索したところそれらしい文章は見当たりませんでした。
(上記の文章はうろ覚えの単位が含まれていますので、実際の値についてはご自身で検索してみてください)

参考になりそうな文献です。
臭素酸カリウムについてのQ&A

「百害あって一利無し」な物質でしたら、もちろん含まれていない方が良いですが、「十利あって一害」であれば定められた量の範囲内での使用は許されるくらいに自分は考えています。
農薬がまさしくその例なのかなぁと。
ただ、害の部分がよく分かっていない物質はやはり怖いです。ベトナム戦争で使用された枯葉剤も、遺伝子が破壊されて生まれてくる子供が奇形になる危険とか使用していた当時は分かっていなかったのかも知れず。
広島や長崎に落とされた原爆も、同様に遺伝子まで破壊されるレベルで。これも当初は分かっていなかったのか謎ですが、未だ保有国があるのはちと考え物というか。その時点だけの破壊だけでは済まされないので。
原発についても事故が発生してしまうと同様の危険が勿論考えられます。しかし、まともに稼働している範囲では一利くらい勿論あるので、まだマシなのかなぁと。事故が起きたら手に負えない部類なので、まぁデリケートな話題です。

と、話が大幅に脱線しました。
オーソサイド水和剤については既に半世紀以上前から世間で利用されており、使用方法さえ守れば害の部分はかなり小さいようです。
例えば果実の収穫から何日以内の使用は許されないとか。要はどれだけ残留しているかの部分です。
あとは野良猫とかが食べてしまわないような状況も無視できないです。

有機農法は善とされています。
それで上手くやっていけるのなら勿論良いとは思います。
過去に観た自然も扱うドラマでは有機農法(無農薬を含む)で失敗した例とか幾つかありました。
メジャーなところでは「北の国から」のスペシャルでしょうか。主人公の友人だった青年が有機農法を始めたのですが害虫だったか病気だったかが大発生してしまう場面でした。他の農場に飛び火しないよう、直ぐに処理が始まった場面に繋がりました。
他にも、数年前に観たドラマで僻地の町興しに有機農法を取り入れたものの、収穫間近に害虫が大量発生し農薬を陰で使ったところ、残留成分で何処かの検査機関にバレてしまい新聞沙汰になってしまったとか。
使った農薬が何なのか分かりませんが、収穫直前だったのも災いしたのかも知れません。基本的に、症状が出る前に使うべきとも自分は思っています。
結局のところ、無農薬は幾度か痛い思いしてからでないと気付かない部分があるのかなぁと。そして、農薬の使用はちゃんとスケジュールを組んだ中の比較的早い時期に実施すべきなのかなぁと。
昨日使用したオーソサイド水和剤についても、既に時遅しな状況でした。とりあえず、しばらくは食べられる系の園芸を予定していないので、まぁいいかで。
本来は冬の季節にしっかりとした対応が必要だそうで、次の冬に頑張らねばと。

コメント

  1. […] 以前に某パンメーカーの製品に含まれる臭素酸カリウムの危険性(発がん性)について綴りました。個人的には水道法で許される含有量以下だから問題ない認識でした。 この件を大袈裟に綴っているサイトが多く、だいたいは含有量についての具体的な記載が無く。恐らく、その辺の知識がそもそも無いのかなぁと思えて。 今回のネオニコチノイドについても、安全範囲の含有量について調べてみたのですが、現時点では妥当な記事が見つからず。 そもそも、土に撒く殺虫剤がどれくらいの割合で花や実に吸収されるかなんて植物の種別によって異なりそうですし、その吸収された花や実をどれくらい接種したらどれだけの影響があるかなんて二次的な影響は、簡単に導けないかなぁと。 殺虫剤の濃度など使用者の手違いで大きく変わりそうですし、大きな実害が分かっていて因果関係も実証されているのなら使用中止が妥当かと思えます。 そして、またしても日本の対応が後手後手っぽく。 […]