某SNSでNanoVNAの質問がありまして、軽く記事にしてみます。
NanoVNAとは小さなネットワークアナライザーで、数年前ならとんんでもない値段だった測定器の機能を持っています。
アマチュア無線の世界では最近かなり注目されており、これまで高根の花だったアンテナアナライザーの機能も持っていて。自分はほぼその機能しか利用していませんが、十分に元は取れています。
それまで一般的だったアンテナアナライザーは五万円以上の値段だったものの、NanoVNAは七千円ほど。
他にもスミスチャートを描けたり、線材の断線ヵ所を特定したりも出来るそうです。
が、市販品のアンテナの調製はアンテナアナライザーの機能を使う程度でも十分かと。
自分の場合はマルチバンドなダイポールのトラップコイルの設計等で共振周波数の確認にも使ったりでした。
ただ、プロ用の数桁高価なネットワークアナライザーに比べると、細かな点ではアバウトな測定器だとは思います。
例えば、付属のダミーロード等で校正が可能なのですが、そのダミーロードも安物のせいかRだけではなくZも持ってしまっているとの指摘も。
ただ、ほとんどのアマチュア無線家には些細な誤差の範囲かと思われますし、ともかくコスパの良さと高性能がこの製品の売りで。
NanoVNAも液晶サイズ等の違いで様々な製品が発売されていますが、自分は一番安い部類で評価も良かった以下の製品を入手しています。
現行のモデルは50KHz~1.5GHzまで対応しています。
自分の場合は430MHzのリグまでしか所有していないので、1GHz以上は使ったことがありません。
【購入に当たって】
個人的には液晶画面など小さくても構いませんでした。とにかく安いのを欲しかったので。
これがワンサイズ大きな液晶でも特別観やすいワケでもなく、老眼鏡は必要でしたし、屋外での機動性を考慮したら小さい方がメリット感じたりです。
Amazonでも色々な製品が販売されていますが、ある程度レビュー数の多い製品が安心感あります。
製品の校正に必要な治具類は全て同封されている様です。
ただ、気をつけるべきなのはSMAからの変換コネクタが別途必要なことです。
自分は手持ちの幾つかの変換コネクタで使用可能でしたが、それらが本体より重い結果に。
後日、秋月さんで一発変換可能なコネクタを250円くらいで入手しました。(製品はSMA-J⇔UHF-J)
他にも屋外使用用途で百均のケースを入手される方が多い様子です。
【製品到着後】
先ずはキャリブレーションが必要です。参考になるサイトは幾つもあるのですが、自分が参考にしたのは以下のサイトです。
「たっぷりな時間を使って老後を楽しもう!」さんによる「安価な NanoVNA と NanoVNA Saver を使って SWR のベスト調整」
ただし、上記につきましてはキャリブレーションの完了までで十分だと思います。
PC用のソフトは自分も滅多に使いませんし、ファームウエアのバージョンアップは文鎮化してしまうリスクもあるので、自分はしていません。
また、デフォルトではスミスチャート等の様々な表示が画面に表れるのですが、これが逆にゴチャゴチャして解り難いので、自分はSWRの周波数特性だけを表示する様にしています。
この余計なのを表示させない設定もちょっとハマりました。
また、その設定もメモリーし、次回起動時はSWRを測る開始周波数と終了周波数の入力のみで使える様にしています。
更に、普段は7MHz~50MHzのアンテナしか測っていないので、メモリーの周波数も少し広めな5MHz~60MHzの範囲で起動する様にしています。
最初に大雑把な全体像を確認後、ターゲットの周波数のみを表示させています。
気が向いたら、上記の解説をこの記事でちゃんとしてみたいです。
ともかく、最初の校正と表示設定の変更は、ちと面倒でした。
【実際のSWRの測定】
1)測定対象のアンテナ等を接続
2)起動後に「トップメニュー」→「STIMULUS」→「START」で測定開始周波数を入力。
3)同様に「STOP」で測定終了周波数を入力。
これだけでSWRの周波数特性が測れます。
上記は21MHzのアンテナを測定した例です。
START20MHzでSTOP22MHz、ディップの底は21.080MHzでほぼFT8用。その時のSWRは1.099です。
ディップの始まりは約20.5MHzで終わりは21.8MHz辺りになります。
ディップの底に「1」という表示がありますが、これはマーカーと呼ばれ、複数個のマーカーを表示させることが可能です。例えばディップの始まりや終わりに計三つとか。
【その他】
測定内容にもよるのですが、自分のNanoVNAはフル充電で連続二時間は利用可能でした。
なので、屋外使用でもちょっとした調製でしたら電池の持ちは十分かと思います。
付属のUSBケーブルで充電可能ですので、万一の際にモバイルバッテリーを持参しておけばまず心配は無いと思います。
一般的なアンテナアナライザーですと周波数帯域までのSWR表示は出来ず、それをやろうとしたら何十ポイントも測定してグラフを手書きとかExcelで表示するハメになるのですが、NanoVNAですと一発で目視可能です。
これが無ければ5バンドのダイポールアンテナを作ろうなどと思いませんでした。
また、市販の5バンドのモービルホイップも調整がやたらとクリティカルでしたが、これもあっという間に完了しました。
今月号のトラ技でも特集が組まれていますし、これは図書館で読んで内容が濃ければ購入予定です。(書籍類は引越しの度に手放しがちだったので、滅多に購入していません)
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