かれこれ十年ほど利用しているCOMET社のアンテナチューナーCAT-300についてです。
バンドの切り替えスイッチのガタは購入して一年程度でも気になっていたものの、その他の動作は概ね良好で。
リレーだらけのATUと違い、バリコンで調整が可能なので最後の一滴までSWRの調整が出来る点が好みです。アナログの力強さというか。
SWRが最良になると受信感度も上がるのですが、送信についてはあくまでも無線機の保護で、アンテナから放出される電力は僅かだと分かりつつ。
しかし、それでも電波を出せるか出せないかの違いは大きく。
現在利用中のダイポールアンテナは21MHzと50Mhzに調整されていて、アンテナチューナー無しでもSWRは1.2以下です。
しかし、アンテナチューナー経由で調整してみたところ、3.5MHzも1.8MHzもSWRが1.3以下でした。駄目元にしてもなかなかの成果でした。
この二つのバンドでも、ちゃんとFT8の受信は出来ています。
明け方に1.8MHzのFT8で受信を試したところ、Z37CXYとの見慣れないコールサインが。Webで検索したところ北マケドニアの局でした。
そんな国があったのかと。地図上はギリシャの真上です。比較的新しい呼称だそうです。
バルカン半島に位置する国なのですが、あの一帯は自分の高校時代から不安定な情勢で。
ちなみに、北マケドニアは旧ユーゴスラビアの一部。これなら聞き覚えもあります。
高校時代に教師が急病になり、校長が代わりに講義を受け持った場面がありました。本来予定されていた科目とは全く異なる話をし始めた校長がちょっと面白く。
「バルカン半島がいま熱い」との話でした。次のドンパチはここから始まるかも知れないと。
全くぶっ飛んだ話でしたが、実際に民族問題はその後に激化し、国名から何から見慣れない結果を生んでいて。
自分からすると縁もゆかりもない土地でしたし、その地域がどうなろうと自分にはあまり関係無いくらいに思っていました。
ただ、その地域で暮らす庶民にとっては切実な問題だろうなぁと。
そんな方が、いま目の前で無線機を操っていて。
随分前にたまたま深夜枠で観てしまった映画「旅芸人の記録」を思い出したり。
偉大な歴史を背中に抱えるギリシャという国の近代史を旅芸人の一行の視点で映像化された作品でして。
約四時間に渡る長編はノーカットでNHKで明け方まで放映されていました。そんなことは知らずにたまたま観てしまった作品で、結末観たさに最後まで付き合ってしまい。
当時のギリシャは永年に渡って内戦が続いたり政治不安が続いたりで、安定した生活を送ること自体が困難だった様です。幾ら勤勉であっても真面目であっても。
明日、何が理由で命を落とすのかも分からない場面が、作品中にもありました。
例えば、劇団が美しい海岸を背景に砂浜を移動中、何の前触れも無く突然の銃弾に倒れたり。小さな舞台で作品を披露中に「それはやりすぎだろう」と観客席から突然撃たれたり(単なる劇なのに)。
このテレビ放映はテオ・アンゲロプロス監督の特集だったらしく、その後に放映された作品もついつい観てしまいました。
バックボーン等を知らないと難解な作品だらけだったのですが、映像は美しく。
それだけでも見応えはあったのかも知れません。ただ、映像の裏側には監督の訴えたい何かがあったんだろうなぁと。
校長から教師まで変人度の高かった高校の生徒達も、変人度は高かった記憶です。
学業も優秀な連中だったのですが、趣味や興味にもやたらと詳しいのが幾らでも居て。(自分は偏った音楽で少々目立っていました)
自分は理系の大学に進んだので、文系のオタクに触れられたのはこれが最初の機会でした。
特に二度の世界大戦に詳しい奴は教師よりも知識が豊富で。
自分は世界史が特に苦手でした。高校で教わる内容は初めて聴く言葉だらけで、全く覚え切れず。興味はあったものの、そんなに広く覚え切れず。出来るものなら、広く浅くよりも興味ある部分だけ深く知りたかったです。ただ、それは高校生に求められる領域では無く。
海外出張で訪れたヨーロッパの地名には敬意を抱きがちでした。ドイツからデンマーク方面へアウトバーンを移動中「キール」という標識を見付けては「ここに大きな軍港があったんだよなぁ」とか。スイスランドへ移動中に「ケルン」の標識を見付けては「ここでキース・ジャレットが歴史的な録音を残したんだよなぁ」と。
海外からの電波も簡単に受信できるアマチュア無線のFT8に、妙な世界旅行気分を味わう自分です。
民族や宗教の対立で離れたりくっ付いたりの国は歴史上に多く、自分が習った時代とも現代は異なっていたり。
日本については、ほぼずっと国名もそのままだったので、海外の人からは分かりやすいのかもなぁと。地球儀の表面ではとても小さな国ですが。
アンテナチューナーの話題のハズが、またしても飛んでしまいました。
だいたい、1.8MHzなんてほとんど中波の領域で。普通のAMラジオに近い周波数で。本格的なアンテナならとてつもない長さになるワケで。
それが、あのバルカン半島と交信出来るなんて、やはり凄いなぁと。
自分はまだ受信しか出来ていない立場ですが、FT8のソフトの画面上では沢山の日本の局と交信中です。
コメント