歴史書とか

以前の仕事で自分は分析装置の修理や点検をする技術屋さんでした。
お客さんの何割かは研究畑の方で、色々と面白い話を聴けたりで。
STAP細胞の悪い噂が世に流れていた時は、研究職の方に仕事中意見を聞いてみたり。何が問題だったのかとか、存在の可能性とか。
自分の扱っていた分析装置はSTAPといった生化学ではなく、無機化学用途でしたが、研究者の方としては「有無以前に記録をちゃんと残していない時点で説得力に欠ける」との意見が多かったです。
いまでも存在を信じている一般人の方はそれなりに居る様子ですが、自分は何とも判断付かず。(後々見つかったりしたら恥ずかしいので否定しないだけですが)

そんな分析装置を扱うお客さんの中には、かなり個性的な方も居ました。
歴史小説を何冊も発行した作者さんというのが居まして。
現役の作者さんで執筆だけでは生計が立たないらしく、表向きは分析屋さんだそうです。

その表向きの仕事が一般人相手で、苦労も多いとのこと。
例えば「水に毒を入れられている」という苦情の処理とかも受け持つそうで。そういった苦情の多くは高齢者の方だそうですが、電話対応では埒が明かず実際に伺ってみると話が大抵違っていたそうでした。
自分は幸か不幸か一般人相手の仕事の経験が少なく、何処かの会社や組織に属するお客さん相手なので、あまりにもぶっ飛んだ対応は少ない方かも知れません。

その作者さんは日本の歴史ものを扱ってきたそうで、中には個人的に全く興味ない人物も出版社からの要請で扱わなくてはいけない場面があるそうです。
で、執筆前には参考になりそうな資料を先ずは集めるそうですが、古い書物の僅か一行だけ登場という人物もあるそうです。
かなり無理のある作業かと思います。骨に肉付けする作業といっても、その骨がヒトカケラしか無い中での肉付けなんて、相当な想像力を要求されそうです。
他の作家が有名にした歴史上の偉人の中には、その作者さん曰く「あんなのは空想のタワモノで、本当はつまんねー奴だったんだよ」とか。
具体的に面白かった話がもっと色々あったのですが、まだ現役で表の仕事をされている方なので、あまり詳しく綴れないのが残念です。

自分も歴史書にちと興味があります。戦国時代とかは全く疎く、幕末が対象です。
司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」の影響が強かったと思います。
司馬さんがこの作品を執筆する前には、神保町の古本屋街から幕末の書籍が消えたと言われるほど資料を集めたそうです。
前途の作者さん曰く「竜馬がゆく」も間違いが多いとの指摘でしたが、自分はフィクションな部分も含めてあの作品が好きです。

竜馬の後に、何か読みやすそうな作品が無いかなぁと一番薄そうな本を選んだことがありました。
最後の将軍である「徳川慶喜」でした。これがかなり「つまらない」作品でした。何処にも見所無し。
「竜馬がゆく」の中でも少し登場した慶喜さん、その中でもあまり良い印象には綴られていなかった記憶です。
何でこんな駄作を執筆したのか未だ不思議ですし、大河ドラマの主役になったのも不思議です。
司馬さんも出版社からの要請でしぶしぶ綴ったのかなぁ。

近代に近い幕末の歴史でも謎は多いらしく、江戸時代より前なんてロクな資料が残っていなそうな気がします。
実際、振袖家事の後も東京は関東大震災や空襲で貴重な資料が尽く焼けてしまっているそうですし。
アジアの隣国では、国のトップが入れ替わる度に過去の歴史が都合の良いように書き換えられたり文化が破壊されたりもあったそうで。
まぁ、日本でも多かれ少なかれそんな場面はありそうですけれど。

前回の記事で百年後の歴史書は更に事象が増えてしまいそうだから、間引きされてしまう人物も増えるんだろうなぁと綴りました。
実際、最近もそんなニュース記事を読んでいます。巷では人気の竜馬さんも間引き対象だとか。
明治維新の立役者として個人的には歴史に残すべき偉人だと思っているのですけれど、自分が読んだ本も何処までが史実なのか分かりません。
ただ、歴史に興味持つキッカケとしては面白い人物ですし、数行だけでも教科書に残してあげて良いと思うんです。

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