日付が替わろうとする時刻、外が少々騒がしいので窓を開けてみると、通りには数名のお巡りさんとパトカーが二台。
今度は何事か?と、しばし様子を伺いました。
お婆ちゃんがお巡りさん達に囲まれていました。
お巡りさん: おばあちゃん、お名前は?
お婆ちゃん: この前も言ったでしょ
お巡りさん: さっきから一度も答えてくれないでしょ…
お巡りさん: おうちの住所は何処なの?
お婆ちゃん: 神田区…
(千代田区は数十年前まで神田区と麹町区に分かれていました)
お巡りさん: ここ、寒いからとりあえず車に乗ろうよ
お婆ちゃん: あなた達、自分の家に帰りなさい
どうやら、徘徊老人のお婆ちゃんのようでした。
やり取りは30分以上続き、どうにかパトカーに乗ってくれたようです。悪いことしたワケでもないので、無理に乗せられないでしょうし。
その間、お巡りさん達は、お婆ちゃんのお説教を受けていたり、ちと微笑ましい会話が続いていました。
数年前、築地界隈を知人と散歩していたところ、通りすがりのお婆ちゃんに尋ねられたことがあります。
お婆ちゃん: 小学校はどっちかね?
自分: お近くの小学校ですか?
お婆ちゃん: 息子の運動会があるんだよ
運動会があるような季節ではなかったですし、息子じゃなくて孫だよなぁ、と不思議でした。しばらく会話は続いたものの、結局話が噛み合わず。
御婆ちゃんを近くの交番まで案内してあげようと思ったところ、一緒に居た知人は半ば強引にお婆ちゃんに別れの挨拶をし、自分は知人に腕を引っ張られました。
一緒に居た知人は妙なジェスチャーをさっきから送っていました。
知人: なんで気付かないの?ああいった人は相手にしちゃいけないのよ!
自分: ?
徘徊老人だということに、そのとき初めて気付きました。自分の身近には老人が居なく、現実世界で初めての場面でした。
ただ、相手にしちゃいけないという意見は納得ゆきませんでした。
自分の子供が一番可愛かった時代を彷徨う御婆ちゃん、それはそれで素敵だと思ったりでした。(ご家族の方は大変かと思いますが..)
特に目的も無く散歩していた自分は、御婆ちゃんに数時間振り回されても構わなかったです。
程度の差こそあれ、いつかは自分もボケるのかと思います。ただ、周りに面倒かけたら申し訳ないので、攻撃的なボケにはならないように心掛けています。
まろやかなボケを目指して。
ガァ
コメント
やっぱりお宅の辺りだったんだ…
昨夜 友達の追悼会を「田幸」さんで行っておりましたら、何やら同朋町の辺りで赤色灯が回ってたましたね! ?さんの処辺りだと見えましたが…そうですか「徘徊」するおばあちゃんだったんですね…
下町の良さで、子供とかには何気に声を掛けるのは当り前ですよ!
お年寄りなども同様で、「一声」を掛けるのは礼儀作法でもあります。
「知らん顔をする」なんてのは、現代社会の現れですね…悲しいね!
ちなみにその「徘徊」をしてらした方は「石黒さん」じゃないよね…(大笑)
ニャン太郎さん
おぉ、昨夜もこの界隈へ呑みにいらっしゃってたのですネ。
先週伺った訃報の件は、残念でした。自分もあのBlogを時々覗いていましたから。
下町らしい写真、きれいに残されていて..。
後ろのパトカーはKさん邸の辺りに停まっていたので、ほぼ正解ですよ。ここのところお巡りさんの登場する場面が多い中通りです。
行事やお祭りの場面で、Iさんからはよく御指導頂いております。カメラバッグを身に付けたままの自分がどうにも気になるようで。(シャッターチャンスを逃したくないからなのですが)
万世橋ルネッサンスの際、ニャン太郎さんに「シャッターチャンスだよ!」と言われた場面、あれは面白かったです。→生花
その後の運動会でもシャッターチャンスがありました。→お昼寝
ガァ
ほほえましい、というか、ふくざつ、というか。
いちばん印象深かった時代に戻るのでしょうか。
そのとき、ご本人はすっかり戻っているのなら幸せ
なのかもしれませんね。
おやぢぃさん
自宅近くで繰り広げられた昨夜の場面、シュールかもしれません。
お婆ちゃんの言っていることも、けっこう的を射ているなぁって思えたり。
放っておけないお巡りさん達と、構ってほしくないお婆ちゃんと、世の中捨てたもんじゃないよなぁって。
数年前の運動会の話は、三者の誰が勘違いしていたのか、実際のところよく分からないんですよ。結末は謎のままでして。
自分が一番世間知らずなんだなぁって、流れでした。
ガァ
人生の終盤になり、幸せな気持ちになれるように、
幸せな感覚をまた味わえるように、
神様が与えてくれるものだって聞いた事あります。
おばあちゃんのご家族は本当に大変かと思いますけど、
そゆ人に対して優しく接してあげられる人が、
街にたくさん居ることを祈るばかりです。
kyonさん
高校時代の国語の先生は、風変わりな御仁が多く、「こんな表現もあるのか?」といった感動が時々ありました。「与謝野晶子はポルノだ!」から始まったり。
死に際の病棟で、現世最後の一言が「このヤブ医者!」」と叫ばれる方もいらっしゃるそうです。
「うちのは朝から飯も食わしてくれない」を毎晩聞かされるよりヘビーかもしれません。
楽しかった頃だけ思い出せる老後って、やっぱり素敵ですよネ。
記憶力の低下は既に感じ取っている自分です。
ガァ
[…] この3つ目の行動を若くして普段から選びがちな人は、歳を取ると危ないのかも知れないと思っていたりです。 「不都合を他人のせい」にしてしまうパターンです。 「自分の考え方や行動が正しい」という大前提が働いているのか、自分を疑うことを知らないのか、いつも堂々としていて。 中には自分の非に気付いていてもそれを認めたくない、認められないタイプも居るのかと思いますが。ここで問題にしているのは「全く気付いていないタイプ」です。 こんな経験もあったなぁと思い出したり。 […]
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