関東ではフランダースの犬が毎週木曜日の夕刻に再放送されています。
昨年の秋頃だったかにそれを知り、途中から時々観ている自分です。
25年前、初めて無職になったときも帰省していた実家で同じような経験をしていました。
あの頃の自分は三十路手前だったものの、幼少期に観た同作の記憶がほとんど抜けていて。
当時の北海道での再放送は週一でなく毎日でした。
刻々と進む展開、中盤まではまだ人の優しさに溢れていたのですが、後半は残念のオンパレードで。
ドラマで有名な「おしん」も幼少期は悲惨な出来事が多かったものの、最終的には落ち着いた生活を手に入れていた記憶です。
最期まで悲惨な展開でいうと「火垂るの墓」があるのですが、あれは戦後の混乱期で当時珍しくなかった状況だったとも思えていて。
十分に悲惨なストーリーではありましたが、あれはどちらかというと大人向けな作品にも思えてしまい。
それに比べてフランダースの犬ときたら、元々児童文学だった様子ですし、アニメの放送枠も子供向けで。
Wikiの解説では、製作に関わった宮崎駿さん曰く「視聴率的には成功したんですが、僕はゴミみたいな作品だと思うんですけどね」との評でした。
まぁ気持ちも解らなくないのですが、ゴミと評するのはちょっと失礼に思えたりです。
貧しく辛い日々の中でも日々まともに生きて行く姿勢は大切だと思いますし、世の中には悪役ハンスの様な人が実存します。
上にはペコペコで下には冷たく当たる奴です。
あんな人にはなりたくないというスタンスは、自分も昔からあったりで。
ハンスのコバンザメみたいな生き方というか。正攻法ではあると思うのですが、誰からも信頼されないのは悲しいと思います。
ネロについては誤解され、地域の一部の大人から冷たい対応を受けるのですが、ネロを信頼する登場人物は少なくなく。
その点は恵まれていると思います。
今回の再放送は残り七話らしく。
悲惨な展開は更に続き、唯一の希望であった絵画のコンクールでも落選してしまう流れが待っています。最終回では特別賞的なのが待っていたのですが、既に時遅しで。
落選を知った時点で「全て終わった」と悟る主人公ネロ、アニメ上の設定は十歳だったハズで。
他にも生きる道はあったと思います。特にキコリの手伝いを評価されて弟子入りの話もあったりでした。
ちゃんとした教育を受けられていたら、恐らく相当な実力もあった少年だったかと。
フランダースの犬の原作は1872年に発行されたそうです。
日本では明治5年だそうです。
日本での義務教育の始まりは1886年らしく。
出典元を忘れてしまったのですが、自分が暮らす柴又は元々貧しい農家が多く、子供達は学校に通うことも難しかったそうです。
隣町である金町の小学校へ通える生徒は僅かだったそうで。
それがいつの時代だったか思い出せないのですが、この地域でもそんな時代があったそうです。
アントワープの美しい街まで毎朝牛乳を運ぶネロの時代も義務教育的なのはまだ定まっていなかったのか、友人のアロアは裕福だったからイギリスの学校へ留学出来たりで。
既に話が随分と逸れてしまいました。
2000年に妙な縁で三ヵ月も滞在出来たオランダ南部、ベルギー領土までは車で15分ほどの地域だったもので、フランダースの犬の舞台となった地域にも幾度か伺っています。
アントワープは昔ながらの美しい街でした。そして、ネロが暮らしていたらしき近くの村も既に立派な街並みに変化していました。
自分が定宿にしていた地域からアントワープへは車で小一時間くらいだったか。
無料のフリーウエイでは凄いスピードで走り去る車が時々。
ロータス・エスプリといったスポーツカーは当然なのですが、一番速かったのはロールスロイスでした。
突然ルームミラーにパッシングをよこした黒いセダンに道を譲ると、とてつもない速度で走り去り。
アントワープは世界の宝石を扱う街でもあったそうで、桁違いの富裕層も少なくないらしく。
聖堂辺りの古くからの中心街は昔のままなのでしょうが、街までのびる小さな道と並行する小川な風景は何処にも残っていなかった感です。
作品の良し悪し抜きに多くの日本人を魅了してしまった「フランダースの犬」。
あの頃暮らしていたオランダ南部でも、そんなストーリーを知る人は僅かでした。
「週末は何をしていた?」と聴かれ「アントワープに行っていた」と答えると、更に「どうして?」と。
「日本で昔流行ったアニメで、アントワープやルーベンスが重要だった」と伝えたところ、芸術家肌だった相手は「ルーベンス!」と絶叫し。
そのアニメのストーリーを尋ねられたのですが、自分の知る単語では説明が付かずでした。
その辺の出来事は過去にも綴っています。
この記事も、そこまで扱ってしまうと際限無くで。
一部の文化人とは、意外な単語で共感があったなぁと。
それは日本人に限らず、海外でも同じでした。
「ルーベンス!」と絶叫した初老の男性は、日本の暮らしの写真を見せてほしいというので、ノートPCに残っていたデジカメの写真を見せたところ、また絶叫したりで。
たまたま背後に写っていたポスターに「モンドリアン!」と。
モンドリアンがオランダ出身だったとは自分も知らずで。
教養とか文化的な知識や経験は、社会人になってからほとんど役に立たなかったです。
しかし、海外でそれなりの時間を過ごすと、意外な接点があったりでした。
「どうしてそれを知っているんだ?」と。
自分はそれなりに貴重な経験をしてきた様です。
普通であればあり得ないシチュエーションでしょうし。
僅か十歳で人生を終えたネロには夢がまだまだあったのになぁと。
それに比べると五十代中盤まで、それなりにやりたいことをやれてきた自分は結構幸せなんだよなぁと。
やりたくもなかった役が、結果的に良い思い出にもなったりで。
結末を知りつつも、次回の放送が気になる「フランダースの犬」でした。
コメント
フランダースの犬の再放送
1話から録画してたんだけど
つい最近、全部消してしまった(^-^;
理由は、
フランダースの犬 全アニメファンを
敵にまわしてしまうので書きませんが
私には合いませんでした(>_<)
本を買う予定です(^-^)♪
どんな作品でも受け止め方は人それぞれなので、逆にpどんの感想が気になったりです。
あの作品については実際に嫌いだという友人もいたし、海外では厳しい評価も多い様です。
自分も、結末についてはもう少し別の纏めようが無かったのかと思っていたりです。
原作を以前に読みましたが、設定は異なっていて。
特にネロが15歳だったり、アロアとはもっと密接な関係だったり。
その歳だったら、生き抜く方法があるだろうとか、アロアのお父さんから煙たがられても仕方ないとか。
アニメ版は10歳だからで成り立っている部分もありそうです。