FT8の一年

アマチュア無線でFT8を始めてから丁度一年経ちました。
自分の身近にはFT8を使っている人がおらず、何から何まで調べたりハマったりの当初でした。

この一年の運用実績は、QRZ.comのログ上で106ヶ国と交信、ARRLのログ上ではDXCCが91ヶ国、CLUB LOG上では105ヶ国でした。
大陸別では南極大陸以外の六大陸を四月頃に制覇していました。結果的にアフリカ大陸がやはり手強かったものの、夏季には7、18、21、28MHzで幾度か交信出来ました。

一年前のこBlogの記事を読み返すと、自分でも笑ってしまいます。
FT8を始めて五日後の記事では「海外については台湾、香港、中国、ロシア、オーストラリア、ニュージーランドと交信出来ました。過去にも交信実績のある国ではあります。出来るものなら北米、ヨーロッパ、アフリカとも繋がってみたく」と。
現時点では、時間帯とバンドさえ選べば北米も南米もヨーロッパも毎日交信可能だったりで。

FT8を始めた当初はマンション一階のベランダにモービルホイップアンテナ「HV5S」での運用でして。これでもコンディションさえ良ければそれなりに飛んではくれました。
特にどの時間帯にどのバンドでどの地域が開けているかを知ってからは、貧弱な設備でも最低限は楽しめたり。
しかし、NanoVNAで多バンドのダイポールを小さな庭に張ってからは、やはり飛びが違いました。ローカル局から頂いたアンテナの資材もかなり助かり。
FT8を始めてから、ほとんどお金は掛かっておらずです。強いて言えばNanoVNAの七千円が一番高くついた程度です。

ローカル局は立派なリグと立派なタワーをお持ちでしたが、元々はV/UHFしか運用していなく。
FT8やNanoVNAを紹介してからは、HFにもハマり見事なDXハンターへと変貌。
七十代中盤の年齢でパソコンに親しみの薄かったローカル局さん、FT8の環境設定から三日ほどは自分もスパルタンな指導をしてしまい恐縮だったのですが、その後の勢いは素晴らしかったです。
DXCCは百を既に超えていますし、南極とも交信されていて七大陸制覇で。
自分の暮らすマンションの部屋から、ローカル局さん宅は直線距離で僅か40m程度なので、同軸を引っ張ってアンテナを借りる案もあったりでした。
ただ、自分としてはこのプアなロケーションで何処まで出来るかが楽しみでもあり。
アパマンハムの醍醐味みたいなのもあるかと。

田舎出身で都内で暮らす方の多くは集合住宅住まいかと。
アンテナの設置条件はかなり限られていると思います。また、都心部ではノイズ源も多く。
アンテナの長いHFの運用を諦めていた方も多いと思うのですが、FT8でしたらモービルホイップでもソコソコ楽しめる感です。
ただ、よく飛ぶアンテナほど、見た目が目立つ法則みたいなのがありまして。自分もマンションの管理組合に目を付けられたことが一度ありました。

個人的にオススメなアンテナは自作のダイポールです。バランは市販のもので、後はNanoVNAの力を借りて。線材等含めてアンテナに一万円も掛かりませんし。
トラップコイルの製作さえ上手く行けば、多バンドでも何とかなります。
また、短縮率が上がってしまうので使える帯域は狭くなってしまうのですが、FT8の運用周波数にディップが合っていればそれで良いと自分は思っています。
以前に高価な屋外型ATUも利用していましたが、結果的に飛びはイマイチで。やはり、ちゃんと同調したアンテナには敵わない感です。

この一年で交信した一部の局のProfileをQRZ.comで確認したところ、広大な敷地に巨大なタワーとアンテナを幾つも建てた方が何人も居ました。
確かに飛びは凄いと思うのですが、あれで飛ぶのは当然で。
逆に、集合住宅のベランダで工夫を凝らして運用されている方が色々と参考になったり。
一番凄いと思ったのが、中国の高層マンションが立ち並ぶ一室。ベランダは一畳程度の広さでエアコンの室外機しか置けないような環境。
そのベランダに工夫を凝らしたアンテナを伸ばしていて。マンションの20Fくらいの高さも手伝ってか、飛びは結構良い様子でした。
PSKReporterのお陰で、どれくらい飛んでいるのかは確認出来まして。

特に冬場のこの時期はハイバンドの飛びが悪いものと思っていました。自分は21MHzを昔からメインで利用していて。
しかし、FT8ですと時間帯によって北米、南米、ヨーロッパとこの時期でも交信可能です。
数日前に久し振りにSSBの方もチェックしてみたのですが、全く何も聴こえずでした。FT8ではあんなに遠くと交信出来ているのに。
勿論、シグナルは弱いものの、交信出来てしまえばコッチのモノです。

せっかく無線を始めてみたのに、全然飛ばないとか全然受信出来ないとか、音声の通信で諦めていた方は試しでもFT8をお勧めします。
現在は局面の変更申請も非常に楽ですし、古いリグでも何とかなります。
受信だけ試すのであればリグのオーディオ出力とPCのマイク入力を繋いでソフトを設定するだけで運用可能です。
接続も面倒であれば、スピーカーの音をPCのマイクで拾うだけででもソフトはデコードしてくれます。(弱い信号は落ちるでしょうけれど)

自分も最初はそんな状態から始めましたし。
どうしてこんなに遠くの局が聴こえてくるの?と不思議でたまりませんでした。

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