犬の散歩

気晴らしに江戸川の土手でも散歩に出掛けようかと家を出たところ、交差点で近所のお婆ちゃんと鉢合わせ。
斜め向かいの一軒家で暮らすお婆ちゃんは犬の散歩の途中で、目的地は同じらしく一緒に散歩することに。
壁に飾られた大きな絵画を外してほしいと以前に頼まれ、ご自宅に上がったことがあったりで、時々冗談も言い合える仲です。
小さなワンちゃんの犬種は謎なのですが、吠える場面は一度も見たことが無く自分が居ると足元まで寄ってきてクンクンと。

今日は小さなワンちゃんをもう一匹引き連れていました。娘さんが泊まりで遊びに来ているそうで、その娘さんのワンちゃんだそうで。
このワンちゃんはちょっと臆病なのか、すれ違う他のワンちゃんに対して一々吠えないと気が済まない様で。
二匹とも見た目はとても似ているのですが、どうしてここまで性格が違うのかちょっと不思議でした。

お婆ちゃんとも世間話を。
なんでも、役所から最近問い合わせがあったらしく。
遠い親戚が亡くなられて、残された不動産の所有者になってもらえないかとの話だったそうで。
固定資産税等の滞納は無かったそうで、資産価値もそれなりにはあるらしいのですが、譲り受けるにも親族との話し合いが必要だし、譲渡されたら税金も面倒そうらしく。
たまたま娘さんが訪れていたタイミングだったので、難しい話は娘さんにお願いしたそうで。

自分も七月に母を亡くしたばかりで、介護や葬儀までのドタバタや、その後の処理がまだ続いている件を伝えたりで。自分の場合は叔母に任せっきりなのですが。
一緒に散歩中のお婆ちゃんも母と同じくらいの歳だと思われるものの、日に何度も犬の散歩に出掛けているので足腰は丈夫そうですし、呆けてもおらず。
お婆ちゃんも数々の葬儀にこれまで参加されたものの、遺族の後処理は同じような流れが少なく、毎回大変だそうで。
二日前に気付いた住宅街の小さな墓地、その墓石に刻まれていた苗字がこのお婆ちゃんと同じだったので尋ねてみたところ、ご先祖さんのだそうで。
お婆ちゃんがここへ嫁いで来た時は、周辺は田んぼだらけだったそうです。
また、姑さんが古い人で「嫁は玄関から出入するな」と怒られがちだったと。
うちの母も兄嫁達には余計な真似をしてきたものの、更に古い世代は「おしん」もびっくりで。

結局、江戸川の土手まで上がらぬ平地コースを三十分ほどかけて。
近隣で幸せそうに暮らしている高齢者の方々も、色々と苦労を重ねてきたそうです。
一人暮らしのお婆ちゃんの割合が多いのですが、あんな大きな一軒家で暮らすのは大変だろうなぁと。
うちの母も、住み慣れた家からは最期まで離れたくなかったし、そういうものなのかな。

自分はこの土地に引越してきてまだ十年も経っておらず。
以前暮らしていた都心の下町の様に、地域活動を頑張っている訳でも無く。
なのに、近隣の皆さんからは親切にされています。
今時、こんな繋がりは少ないんだろうなぁと。
集合住宅暮らしの自分ですが、たまたま一階の小さな庭付きな部屋で、ヘンテコな園芸に失敗してばかりで。
周りも黙って観ていられないのかな。
ともかく、引越し先がここで良かったと今宵も思っています。

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