いつの間に

深夜のこと、何となく調べ事をしていたところ、残念な事実に辿り着きました。
六龍鉱泉が二年前の昨日、終戦記念日前日に廃業していたそうです。

現在でも自宅ではシャワーばかりの自分、湯船に浸かりたいときは銭湯を昔から利用しがちで。
明神下で十二年暮らしていた頃は近くにスーパー銭湯もあったりでしたが、敢えてちょっと距離のある六龍鉱泉まで足を運ぶことも少なくなく。
池之端のあの辺りは漱石の文学に登場しそうな雰囲気が残っていて。実際百年前と風景は大差無いのでは?と思えていたりでした。

六龍鉱泉の湯はウーロン茶の様な焦げた色で、そして恐ろしく熱く。
寒中禊の逆の様な行為で湯船に浸かったものでした。
暖簾を出た後、外の日陰で涼んでいると大きな壁の向こうからはアシカの鳴き声が響いてきたり。この向こう側は上野動物園なんだよなぁと。
ともかく、独特な風情が面白い地域でもありました。

夏場などは家に帰る前にまた汗をかいてしまうし、冬場はその間に身体が冷えてしまうし。
それでも六龍鉱泉への往復は楽しみでした。

先程軽く検索しなおしたところ、六龍鉱泉は95年間営業を続けていたそうです。
あそこが無くなってしまうと、明神下界隈から歩いて行ける昔ながらの銭湯は燕湯くらいかなぁと。燕湯はまだ残っているそうです。
まぁ六龍鉱泉の場合は鉱泉が出なくなったのが廃業理由だそうで。あそこを愛する固定客はけっこう居たかと思います。混みはしませんでしたが、お客さんが居ないタイミングは少なかった記憶で。
燕湯についても同じくらいの混み具合だった記憶です。ただ、土地柄か背中に彫り物をした方が珍しくなかったです。服を来ていればごく普通のサラリーマンの様な人でも入れ墨があるもんなんだなぁと。

コロナ禍で、いつの間に閉業していたお店というのが少なくなく。
地元の喫茶店はオーナーチェンジとなりましたが、お店自体は残っているのでまだ救われている方なんだなぁと。
あの喫茶店は昭和時代を過ごした乙女向けな仕様で、自分は少女漫画の話題に全くついて行けず。ただ、そんなお客さんの中でも池之端のあの辺りが好きな方もいて。
自分は六龍鉱泉に行くと鴎外荘の看板が気になったのですが、鴎外荘に泊まられたその方は六龍鉱泉が気になっていたそうで。
そして、その鴎外荘も閉業してしまったそう。

一度は行ってみたかったとか、もう一度行きたいと思っていた場所が残っているのか、ちゃんと調べておかねば。
まだ間に合うかも知れず。

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