昨夜のこと、某SNSで測定器の購入に関する質問が。
NanoVNAという自分も既に利用中の測定器のオススメは?の様な質問でした。類似品は幾つも販売されていて。
オススメとまでは言えないまでも、自分の購入したモデルは安く、今のところ問題も無いので、それを紹介してみました。
話は順調に進んでいました。
付属の治具で製品の校正が可能なのかといった質問もあったりで。
普通に使う分には、ほぼ一式揃っている製品なのですが、実際に測定する際に変換コネクターが別途必要なくらいで。
しかし、他の方からちょっとしたご指摘が。
付属の治具では正確な校正が出来ないのでは?といった指摘でした。
NanoVNA自体、様々な種類の測定が出来るのですが、自分はその一部分しか利用しておらず。
指摘された部分は、自分がほとんど利用していないスミスチャートで問題があるそうで。
勿論その危険性はありました。
試しに手持ちのNanoVNAで普段使う周波数帯のスミスチャートを付属のダミーロード(治具の一種)で描いてみることに。
1.5~450MHzの範囲で描いてみたところ、僅かに誤差が出たのですが、個人的には許せる範囲でした。
しかし、測定限界の1.5GHzまで描いてみたところ、かなり歪な結果でした。
まぁ、自分が使わない領域なので実質無問題で。
勿論、そこまで高い周波数を測定対象にするなら大きな問題だと思います。
だいたい、NanoVNAの測定原理にしても、高い周波数は高調波を利用した演算なので、誤差はそもそも高い周波数程大きいハズです。
あの安価な製品で、何処まで許されるのかは用途によるのかと。
一昔前では、同機能の測定器など数桁高価で一般人には手出し出来ないシロモノでしたし。
もっと単純なSWR計にしても、電力計の誤差は平気で20%くらいあったりで。正確さを求めようとしたら、一桁高いプロ用の製品を購入するしか無く。
上手い例えが見つからないのですが、例えば一万円のママチャリを買ったとして、付属のベルの音が気に入らないからと一万円の高価なベルを後付けするのは、ちょっとナンセンスだと思います。
余程ベルに拘りがあるなら別ですが。ベルなど無くとも自転車として機能しますし。
目的と値段の兼ね合いで、十分に機能するなら何事も無問題かと思っています。
特に使わない機能とか、使わない領域の性能など極端な話、どうでも良く。
過去の仕事でシールドルームの設計や保守を経験していました。
シールドルームとは電磁波を遮蔽する建物で、通信機器等の性能評価をする場面では欠かせない設備の一つで。
ちゃんと遮蔽されているかの性能試験で、信号発生器とスペクトラムアナライザー(スペアナ)のペアで測定する必要がありました。
当時のプロ向けのスペアナの値段は数百万円。壊れたら大変なので、丁寧な扱いも大切で。
NanoVNAの元祖なVNAも以前はそれくらい高価な品で、精度を求めないのなら、十分に安くなったなかと。
あと、シールドルームに求められる性能も、ユーザーによってでした。10GHzの遮蔽性能を求められるユーザーもいれば、1GHzで十分なユーザーもいれば。
話を戻します。
八千円程度で購入可能な測定器で、付属品もそれに見合ったモノが一式揃っていて。
使い道によって、誤差が出るのは当然じゃないでしょうか。
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