迷子

昨夜のこと、スーパーへ買い物に出掛けた途中、自宅付近の交差点で犬の散歩中の女性にお婆ちゃんが道を尋ねていました。
たまたま、その会話の始まりから聴けた距離感。

自宅が分からなくなってしまったそうです。スマホで地図アプリを開き、二人の会話に参加してみることに。
80代に観えるお婆ちゃん、認知症なのかな?
自宅の住所を聴いてみると、ちゃんと覚えていました。駅寄りの教会の近くをその住所は示していました。
自分の行こうとする方向とは全然別でしたが、順路を言葉で伝えてもどうせ忘れてしまうだろうし、案内することに。
犬の散歩の女性とは、そこでお別れ。

世間話をしながらゆっくりと歩いていると、お婆ちゃんは数日前に隣町から夫婦で引越してきたばかりだそうです。
スーパーへ買い物に行った帰り道が分からなくなってしまったらしく。地図を見る限り、そのスーパーと教会は僅かな距離。
「お婆ちゃん、随分と遠回りしちゃいましたね」

しかし、教えてくれた住所が本物なのかもちょっと怪しく。
あんな近い距離でさえ道に迷ってしまうのですから。
失礼ながら年齢を聴いてみたところ、まだ七十代中盤らしく。これにはちょっと驚きました。背丈は自分の胸くらいで少し猫背でショッピングカートを乳母車の様に押していて、もっと高齢にしか観えず。
ひょっとして、自分の年齢も忘れてしまったのかな。だとすると住所も怪しいかもと。
「お婆ちゃん、よく住所覚えてましたよね」

それだけは忘れないようにしているそうです。自分でさえ、引越し直後は住所をなかなか覚えられないのですが。
そして、ショッピングカートを確認したところ、スーパーのロゴ入りでした。持って帰ってきちゃって良いものなのかな?
不安に駆られながら、住所の場所に到着すると、このアパートで間違いないそうでした。
そこでお別れしました。

最悪の結末にならなくて、とりあえず良かったです。住所が間違っていたら交番に連れて行くしかないでしょうし、だいたい、交番も夜に常駐しているのか不明で。
しかし、若者世帯向けのちょっと古いアパートに、この年齢で夫婦して引越してくるのは色々と理由があったんだろうなぁと。
単身だったら借りれなかったと思いますし、家賃も安そうで。

どうして自分がここまで世話をしてしまったかというと、過去にデートの途中で認知症らしきお婆ちゃんに道を尋ねられ、連れの女性が断ってしまった件がずっと心残りで。
自分はその場で認知症だと気付かなかったのですが、裸足の姿に「息子の運動会の学校は?」の質問に連れの女性は直ぐに気付いたそうで「あんなのに関わっちゃいけないの」と。
確かに、孫の運動会なら分かる年齢でした。自分としては特に目的の無いデートだったので、お婆ちゃんに振り回されても構わなかったのですが。
あと、実家の母も現在認知症で、遠くで暮らしているので地元の方や福祉に任せっきりで。これも罪悪感があって。

自分の当初の目的地はぜんぜん別な方向のスーパーだったのですが、お婆ちゃんが先程まで伺っていたスーパーが近くになってしまったので、そちらへ伺うことに。
買いたかった鶏肉は何故か格安で販売されていました。
結果的に、こっちに来て正解だった様です。

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