年末年始に試したモービルホイップが意外に使えたもので、今宵久し振りに試してみました。
年初めの最初の交信はこのモービルホイップの40mで合衆国といきなり交信出来てしまい。
夜とはいえ、コンディションが良かったのもあるでしょうが、それでもこんな1.5m程度のマルチバンドアンテナでも合衆国と繋がってしまう事が驚きで。
しかし、今宵はコンディションが悪かったのか、アジアの近い国程度しか受信出来ず。
40mは国外向けの周波数と国内向けの周波数が分かれており、国外向けの周波数で国内と交信してしまってはいけないそうです。具体的にどんな罰があるのか謎ですが。
そして、ガラガラの国内向けな周波数でCQを出してみたところ、全く応答なし。
例の便利地図で確認したところ、受信している局は国内に満遍なく居たのですが。
その後に札幌雪まつりの記念局が小さな信号で受信出来ました。何度かトライしたところ、どうにかピックアップして頂き。
その交信が終わった直後に他局からコールがあり、直ぐに応答。滅多に登場しないバンドだったので、珍しかったのかも知れません。
21MHzを楽しんでいた中学高校時代、国内通信だけでも十分に楽しんでいたんだよなぁと。
時々、韓国やオーストラリアと繋がるだけでも、随分遠くに飛んだなぁと。海外との交信は自分にとってかなりレアでした。
しかし、この歳になってFT8を始めてからは、その飛びの違いに当初驚きました。東南アジアも中国もロシアも余裕で交信出来てしまい。
いつの間にか、海外とも思えない当り前さになってしまい。
玩具の様な短いアンテナを改めて使ってみたところ、意外な面白さを見つけたりでした。
こんなのでも国内を簡単にカバー出来るんだなぁと。
少し話が飛ぶのですが、アマチュア無線を始めるにあたってのイニシャルコストについてです。
特に資金の乏しい学生さん向けに考えてみました。
まず、無線のライセンスについてですが、出来るのなら三級から始めてほしいです。
四級の10Wまでしか出せない規制は実運用でも厳し過ぎます。よほど立派なアンテナを持てるのでしたら別ですが、そこに一番お金が掛かってしまいます。
車の免許に例えると、四級は原付免許に近く、二段階右折とか30km/hの制限速度とかに近いものを感じます。
FT8が幾ら省電力でも楽しめるといっても、ロケーションやアンテナがそれなりでないと厳しい感です。
また、50Wというのは移動運用での上限でもありますし、日本の住宅事情を考えるとそれ以上のパワーを出すと様々な問題に直面したりです。50Wでも我が家のネット回線は勝手に切断されたりですし。
自分の場合は四級(当時の電話級)期間が長かったものの、三級の講習会が一万円少々だったのでそれで三級を取得しました。
一発試験でも試験代や申請代を考えたら、この講習はかなりお得でした。合格率はほとんど百パーセントだと思える内容で。
勿論、既に四級を取得している必要がありますが、ともかく実運用で四級と三級の違いは大きいです。
そして、肝心のイニシャルコスト。
無線機やアンテナが揃っていたとして、開局に必要な申請料関連はだいたい五千円くらいの様子です。電波使用料だったかを含めて。
リグについてはピンからキリまでですが、予算が少ないといった前提でFT-857DMがオススメです。HF~430MHzまで一通り使える無線機で、受信性能は今一歩かも知れませんが、ともかく安く。
しかし、そのFT-857も数年前に製造中止となってしまい、代替機になるリグが無いというか。後継機はあるものの、HF~50MHzまでしか使えないようで。
今年中には430MHzまでカバーされたモデルが登場するとの噂もあり、それにちょっと期待出来そうです。
ちなみにFT-857DMは自分が購入した10前ですと8万円未満でした。富士無線の決算セール時期にはかなり安かった記憶です。
少しお金に余裕があるのでしたら、FT-991シリーズもオススメです。ローカル局が愛用されていますが、かなりFBなリグでした。
991はUSB端子も付いていますので、FT8を始める際もPCとの接続はかなり楽です。FT-857ですと、メーカー純正のI/F(インターフェース)が2万円もしたりです。
ATU(アンテナチューナー)まで内蔵されているので、I/FとATUの差額を考えると991の方がお得かも知れません。
次にアンテナです。
一軒家であれば、選択肢が多いです。しかし、低予算の前提であれば、HF用のダイポールとV/UHF用のGPといった組合せでしょうか。両方揃えて3万円といったところ。
集合住宅の場合ですと、V型の小型ダイポールがお勧めです。現在ですとHF~UHFまで出せるタイプもある様で。デュプレクサーまで含めると4万円くらいでしょうか。
HFについてはATUに釣竿アンテナというのも流行りなのですが、ATUでSWRを無理矢理下げているだけで、受信性能はそこそこなものの、送信電力の多くはアンテナから放出されず、自分が使った感想としては「話にならない」感です。
エレメント長が十分にあるのでしたらまだマシな性能を期待出来そうですけれど、そもそも集合住宅でそれは難しく。
受信信号がこんなに強いのに、自分の信号は何故こんなに弱いの?とか、相手に全く届かずといったジレンマに泣けるかと思います。それも、外付けATUは4万円以上の相場で。
ともかく、ATUに頼るよりはまともにマッチングされたアンテナに限るかと。短縮率が高くても、マッチングされたアンテナはATUと比べ物にならない感です。
また、上記で紹介したV型の多バンドな小型ダイポールの調整は面倒な部分もありますが、NanoVNAを使えば比較的楽に調整可能かと。
次に電源。
これはアルインコの定番を購入しておけば間違いありません。場所を取らずにかなりの容量。
値段は2万円ほどしますが、定番だけあって安心感があります。
その他。
同軸ケーブル類で1万円くらいでしょうか。HF~V/UHFまで出せるアンテナを利用した場合はデュプレクサーが7千円くらい。
あと、SWR計。これはHFとV/UHFが使えるタイプで1.5万円くらいか。
ポールや基台関連で1万円くらい。
出来ればアンテナ調製用にNanoVNAも持っておきたく。
概算の見積ですと、
無線機10万、アンテナ4万、電源2万、ケーブル1万、SWR計1.5万、基台関係1万、NanoVNAは7千。
で、だいたい20万くらい。
SWR計については、NanoVNAで十分に調整されたアンテナであれば、不要かも知れません。リグに内蔵された簡易SWR計で十分かも知れず。
あと、自分の失敗談です。
十年前の東日本大震災で局面を数十年ぶりに再取得した派の一人です。
当初は小型のFT-817とハンディのVX3を購入しましたが、FT-817の自宅運用は話にならなかったです。
ともかく5Wとしか出せないのはロケーションを選びます。集合住宅でしたから立派なアンテナも立てられず。
結局、4アマから3アマにクラスアップしたご褒美にFT-857の50Wタイプを追加しました。
都心の古い小さなマンション暮らしで、四階建ての屋上は大家さんのご厚意で自由に使わせて頂き、ダイポールアンテナや多バンドのGPを試したものの、都市ノイズが酷かったり周りの建物が更に高かったりで結局あまり楽しめず。
現在の住まいは四階マンションの一階。小さな庭にポールを立てたりしてダイポールアンテナや外付けATUでロングワイヤー等色々試しました。
しかし、一時期そのアンテナが目立ってしまい、管理会社から怒られてしまったり。
その後はHF~UHFまで出せる1.5m程度のマルチバンドモービルホイップ。これは絶望的な環境でした。
無線への熱意などほとんど無くなり、酷い時は年に一局しか交信しなかったり。それも十年来の知人である市川の局長さんだけで。そんな数年間。
それが、NanoVNAとFT8に出逢ってから開眼してしまい。
小さなアンテナでもベストな状態に調整すれば、FT8であれば世界中の国と繋がる楽しさを知ってしまい。
ログ管理やQSLカードを発行する手間もほとんどなく、海外との交信もFT8であれば言葉の壁も無く。(少しは英語が出来るので、少しは話をしてみたいのですけれど)
結局、現在の無線環境に辿り着くまで、無駄にお金を掛けてしまった部分は多かったです。リグもアンテナも。
高価なマルチバンドのGPアンテナについては、引越しのドタバタ時に捨ててしまったり。
この十年で、現在利用中の設備の倍以上はお金をかけてしまっています。
安物買いの銭失いとまでは言いませんが、それに近い感で。
購入までのプロセスは楽しかったりですが、下手な妥協をするよりは、最初からしっかりした物を購入した方が、結果的に安く済むのは無線の世界も一緒で。
あと、本当にお金が無いのでしたら、近くのOMさんに相談に乗ってもらう手もあります。
立派なアンテナが立っている無線家宅へ挨拶に伺って、設備を見せて頂いたついでに安くリグ等が入手出来無いか聴いてみるといった。
知り合いの伝手はあるでしょうし、お蔵入りになった無線機は安く入手出来るかも知れません。アンテナ等も。
オークションで入手という手段もありますし。
ただ、あまりに古い無線機の場合は技適に通らず、その申請に手間もお金も掛かったりです。
自分も中学生の当初は頂き物の無線機から始めています。古い6mのAM/FMモデルでしたが、十分に楽しめました。
ただ、当時はアマチュア無線ブームもあって、あのバンドのあのモードもそれなりに人が居たので助かりました。現在はほぼ無人状況です。
FT8限定で話をしてしまうと、V/UHF帯での交信は数ヶ月でほとんどの局と交信済みになってしまうと思います。電波の届く範囲が限られていますから。
その点、HFも使えると一年で届く範囲全局との交信は不可能に近いかと。(アンテナのグレードにもよりますが)
また話が長くなってしまいました。
実際のところ、古い無線機でFT8を始めようとなると、PCの接続等で電気的な知識やPCの知識等、敷居が高いと思います。
その辺を考えると、FT-991辺りのUSB端子を持ったリグを選ぶのが賢明かと。
アマチュア無線暦が数十年のOMさんでも、PCについての知識が足りず、FT8での運用に辿り着けない方は少なくないとも思っています。
中にはJAの二桁コールな超OMさんがFT8を運用していたりなのですが、その信号を見掛ける度に自分は敬意を払っています。
コメント