最後の一輪

庭のヒマワリは同時に咲いてほしかったものの、一ヶ月以上の時間差が。
種を蒔いたのは同じ日だったのに。

最後の大輪がようやく咲き始めました。
一番背伸びして幹も太く。
そして、ちゃんと自分の部屋に向いていて。
素直に育ってくれたもので。

例年、上のフロアで暮らす独り身のお婆ちゃんがこのヒマワリを楽しみにしていました。
「今年もありがとうね」と。
お婆ちゃん曰く、息子さんが居たそうなのですが、五十代で先立たれてしまったそうで。
旦那さんもそうだったのか存じませんが、何だか悟りを開いてしまったのか、女性らしさを捨ててしまっていて。
色気とは何であろうかと、時々考えたものでした。

人を恋する気持ちが人を彩どるのかも知れん。
そんな境地も既に失ってしまったのか。
ともかく、下階に住む自分に媚も売らず素直な気持ちをそのまま伝えてくれる実直さ。

しかし、お婆ちゃんは春先から全く見かけず、暮らしている気配も無し。
いつもだったら介護される方との会話が毎日漏れていたのですが。逆に考えると孤独死していることは無さそうだと。
過去にも幾度か数日間家を空けていた場面はありましたが、事後報告で入院していたとのことで。

深夜な先ほどコンビニへ煙草を買いに。
家へ戻るところ、あの二階に豆電球が。
おぉ、無事でしたか。

明日の朝は、ヒマワリに気付いてネ。
きっと待ってたんだから。

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