カブールのオランダ大使館

ちょっと残念な記事です。
カブールのオランダ大使館にて、現地採用の従業員が日曜日に出社したところ、大使館はもぬけの殻だったそうで。それも何も告げられず。
勝てば官軍の流れで行くと、残された従業員は反政府側の協力者扱いにならないのか、ちょっと心配です。
オランダというと、薬物やジェンダー関連でも柔軟な人権の国なイメージでしたが、外国人に対してはこんなものなのでしょうか。

土壇場で本性が表れてしまうという事ってあると思うのですけれど、何だか残念です。
自分が三ヶ月滞在したオランダでも、ちょっと嫌な思いをした場面はありましたが、それはごく一部で、ほとんどは良い思い出ばかりでした。

こういった場面、やはり映画「キリングフィールド」の脱出場面を思い出してしまいます。
主人公の記者はベトナム戦争下で混乱したカンボジア内で取材を続けるのですが、ギリギリのタイミングまで現地に残った為に、脱出の機会を失ってしまいます。
取材を協力してくれた現地スタッフ共々、アメリカ人の主人公はフランス大使館へ避難。現地スタッフと一緒に戦火の迫る街から脱出の機会を待つのですが、信頼関係も築けた現地スタッフは有効なパスポートを所有しておらず。
パスポートの偽造を図るものの、それに必要な写真が無く。有り合わせの薬品で何とが顔写真の作成に成功。
これで一安心と思ったところ。いざ脱出の場面でパスポートの不備が発覚。パスポートの顔写真は定着液が良くなかったのか真っ黒に変色。
このスタッフだけ現地から脱出出来ず。

上記までの前半でも見応えのある作品でしたが、長々と続く後半は地獄絵図そのもの。
後半はこのスタッフが主人公扱いです。生き延びる為に国境を目指して脱出を試みるのですが、途中々々で何度も死に掛けます。
既に殺害された人々の骨の山を通過したり、捕らえられては何とか生き延びたり。
人の家畜化を迫る新政府は、教養のある人が邪魔でどんどん殺害します。古い仕来りに染まっていない子供達を管理側につかせ、大人達を支配する村村。
教育者や医師や弁護士といったホワイトカラーだったことがバレると、あっというまに殺害されてしまい。ともかく、このイカれた世界で生き延びるには過去がバレぬように家畜として生きて行くしかなく。
過去の立場がバレてしまった場面もあったりでしたが、相手はたまたま過去に世話した少年であったり、良心的な村長であったり。幸運も味方していました。

アメリカへ帰国していた主人公は、記者として誇るべき賞を受賞。しかし、幾度も窮地を救ってくれたスタッフを置き去りにした罪悪感を背負う日々。授賞式でも同僚からその点を指摘され。
俺は偽善者であろうか。
一足先にアメリカに亡命していたスタッフの家族を、主人公は今後も世話をする覚悟。
主人公は、行方不明のスタッフが何処かで生き延びていないか、関係機関に情報提供を呼び掛けているものの、月日は流れるばかり。

幾多の困難を乗り越えたスタッフは、ある日タイの国境が見渡せる丘に辿り着きます。
この場面の「よっしゃ!」なポーズがたまらなく。
タイ側の国境には難民キャンプがあり、そこで保護されたスタッフは傷ついた人々の介護にあたります。(医師だったのかはうろ覚え)

見つかったとの連絡が主人公に。
直ぐに現地に飛び立つ主人公。
再会の場面が感動的でした。
抱きしめ合う二人にカーラジオからはレノンのイマジンが響き渡り。

と、勢い余ってネタバレな内容を綴ってしまいましたが、今夜でもDVDをもう一度観てしまいそうです。
良い話ではないですか。
それに比べて、今回のオランダ大使の行動は何とも遣る瀬無く。

コメント

  1. ルノワールS藤 より:

    ポル・ポトによる支配前夜、まだ自由が謳歌出来ていた時代のカンボジアン・ロックのコンピCDを持っているが、演奏の確かさといい、高度なスキルや芸術性が根付いていたことがよく分かる。
    だけどこれらの歌手、ミュージシャンのほぼすべてが、数年のちにポル・ポトに虐殺されたことを思うと、暗澹たる気持ちになる。

    • SUKIYAKI より:

      バラカンさんの番組ではアフリカの紛争地域の音楽を時々流していて、これだけ才能あるのにと、色々と考えさせられました。
      しかし、アフリカは遠すぎて縁も僅かしかなく、異国の異国というか現実味が。

      記事に埋め込んだ動画は音量が足りないものの意外に高画質で、最初から最後まで観てしまい。
      登場した自動車が、時代を象徴していたんだなぁと。
      縦目のベンツ、吊り目のプジョー、ダンゴムシなワーゲンバス、そして艶を失ったキャトルも44分辺りに登場していました。
      字幕無しだったから、ディテールとか気付きやすかったのか。

      アメリカ文化の浸透も、コカコーラのボトルとかで確認しました。そこで主人公が油断しているタイミングで突然爆撃に遭ったり、テロに遭ったり。
      現地で産まれたロックも流していたら、更にリアルだったのかもで。