大林宣彦監督が他界されたとのニュースがテレビのテロップに流れていました。
体調が悪かった旨は伺っておりまして、数年前に早稲田で講演があった際は自分も観に行きたく思っていたり。
他所で以前に綴りましたが、自分は監督の「さびしんぼう」という作品が大好きで。
さびしんぼうはテレビ放映を過去に二度ほど観ていました。どちらも途中からたまたま観ていて、作品の前半を知らず。
途中からですと、切ないストーリーがジワジワと心をえぐり。届かぬ想いと美しい地方の風景が深まり。
大雨の階段で主人公の青年を待ちわびる風変わりな少女、この場面では涙ポロポロ。
何年か前にDVDが安かったので入手し、映画を最初からやっと観れました。
作品の前半は実に馬鹿々々しい展開なのですが、あのふざけ具合とか悪戯に励む仲間達が自分の高校時代と重なってしまい。
心に刻まれる映画の何割かは、前半がドタバタ気味だったりしたなぁと。ローマの休日にしても前情報を何も知らずに観てしまったら恐ろしくつまらない始まりかも知れず。
特に高校時代の前半というのは、得体の知れない同級生と仲良くなったり羽目を外したり。自分の場合は根性試し的な馬鹿な真似を親しい友人と楽しんだり。
最後の夏休みが終わる頃には学校祭で盛り上がり、それが終われば味気の無い受験勉強の日々で。あの馬鹿々々しい日々は既に過去。
受験が終わってから卒業式までの数週間は「さっさとこの田舎から離れたい」という思いだけでした。
友情を捨てたワケではなく、もう全て過去の出来事で。
映画「アメリカン・グラフィティ」的な哀愁は、映画と同じく卒業式のその日しか自分には無かったかも知れません。
浪人が決まった仲間達には申し訳なく、表向きあまり喜べなかったのですけれど。
自分も高校時代に憧れた女性は居ました。自分にあともう少し何かが足りていたら成就した想いだったかも知れません。
馬鹿なことばかりやっていた自分なので、同期の女性から自分は恋愛対象にならなかったと自負していますが、そんな自分でも別の学年の女性からはちょっと意識されていたり(学校祭のステージで目立った程度で、普段の自分を知らないだけで)。
ただ、自分はこの町から離れるつもりでしたし、恋愛はここを離れてからとも決めていました。ちと冷たい態度もしてしまったなぁと。
「さびしんぼう」の主人公が全て自分に重なるワケではないのですが、僅かに重なる部分に懐かしさを感じたり。
大林監督の話に戻さねば。
尾道三部作については、残りの二作はテレビ放映で最初から観ています。「転校生」も「時をかける少女」も当時は有名でしたし。「さびしんぼう」は通好みな佳作的扱いだったかもで。
「時をかける少女」についてはAmazonプライムのビデオでもしばらく前に観ていました。学生時代に観た時よりも、何だか純粋な気持ちが伝わりました。
作品に冗談めいた場面は無く、ひたむきに日々を生きる若者。記憶から消えてしまう運命の人。ちと不思議で印象的な映像。
「転校生」についてはその後テレビ放映も無く、プライムビデオにも登場しなく。あれは女子中学生のオッパイを披露してしまったのが原因なんだろうなぁと。
公開当時は大した問題ではなかったのかと思います。ストーリー的にも面白い作品でした。性の目覚め的な映画の中で健全な展開だったと思います。
当時のATGの作品にしても、欲望に負ける若者のスッポンポンな姿は同世代の憧れだったと思います。
実際、自分も中学高校時代に異性の裸に憧れたものの、身近な同世代のそれを観たことは無く。
下手にそれを隠してしまうから、世の中には筋金入りの変態が救いようのない犯罪を犯してしまうのかなぁとも思えたり。
元々、日本の性文化というか風習はもっと大らかだったハズで。敗戦後にGHQによりかなり封印されてしまった様ですが、80年代の途中まではまぁ許された風潮だった感です。
世界的な流れには逆らえないんだろうなぁと。
毎度の脱線をしてしまいました。
監督の「ハウス」という初期の作品も深夜のテレビ放映で観ています。
これも大場久美子さんとかがまだ若い頃に裸体を披露していたなぁと(誰が脱いだのか覚えておりませんが、若い綺麗な女性が多数出演)。
作品そのものについては、率直に申しまして気持ち悪いの一言でした。どうしてこんな作品を残したのか未だ不明です。
「狙われた学園」も大林監督だったかな?と検索したところ、そうだったようで。これについてもテレビ放映を観ていたのですが、ストーリーをサッパリ覚えておらず。オープニングのダンサブルな校舎が不思議だった程度で。
個人的には尾道三部作が、やはり印象に残っています。その後の三部作も良かったらしいので、いつか観てみたいです。
それと、バブル期のイカ天の後番組で大林監督が審査員でした。
イカ天はアマチュアバンドの勝ち抜き合戦みたいな番組でしたが、スタッフが不祥事を起こしたりで終了。出演バンドの個性が楽しかったのですが。
その後の番組はアマチュアによる映像作品を評価する内容で。大林監督は、基本的にどの映像に対しても優しく好意的なコメントを残していました。
ただ、イカ天の様な意外な展開は少なく、自分も番組をたまにしか観ておらず。
唯一、大林監督が酷評をした作品もあったりでした。その番組自体をちゃかしたストーリーな作品で、作中で審査員をボコボコにしてしまう流れだった記憶です。
「これの何処が面白いのですか?」的なコメントだったような。
以上は4/11に綴った記事でしたが、オチが決まらずなかなか公表できず。そのままで。
コメント
尾道三部作を始めとした「青春モノ」は、いま観ると若干幼稚なノリもあるけれど、まさにあの時代の十代にとっては鮮烈な印象だったなあ。
いわゆる「アイドルを主役に据えた映画」という一言では、スルー出来ない魅力に満ちていた。
「さびしんぼう」にガツンとやられて、しばらくの間、富田靖子のファンになっちゃったぐらいだし。
自分が富田靖子さんを知ったのはテレビ放映後でした。一人何役もで、ロングヘアが印象的でした。
制作期間とか撮影期間とか短かった作品のようですが、アイデア満載にも思えました。
何だか、学園祭的なノリで作られたのかなぁとも思っていたりです。
まだ観ていない他の作品、色々と気になります。
土曜日に時を掛ける少女がテレビ放映されるそうで、早速録画予約入れています。