白いレンタカー

スクーターでの帰り道、赤信号で左手前に停まっていた車が、何か不自然でした。
まだ新しそうな白いワンボックスは商用車。家族が五人くらい乗っています。
お爺さんから小さなお孫さんまで。
ニコニコ笑顔の小さな子は、後部座席の窓越しに手を振っていました。
その子を抱えるお爺さんも見守る笑顔。

レンタカー会社のステッカーが貼られた白いワンボックスの後部座席には、背もたれに毛布が何枚か干されていました。
ワンボックスの荷台は特に荷物も無さそうで、皆さんフリースの軽装。
「もしかして」と思い、車のナンバーを確かめると「岩手」。

窓越しの子供に、手を振ってあげました。
きょうの東京は暖かく、それだけでも何か安心できるかなぁ。
うぅ、頑張ってくれ。

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岩手は素通りした経験しかありません。
いいえ、一つだけ良い思い出がありました。
大学二年の夏休み、単車で東京から北海道の実家に帰省しているんです。

その帰り道は寝床に困りませんでした。
高校の同級生が東北方面の大学に散らばっていて、最初の夜は弘前大学の近くのアパートに泊めさせてもらえました。
翌日は新潟大学の六花寮の予定で、田舎の国道をちんたら走っていました。

赤信号で先頭に立った自分の単車は、カーブの先から現れた四輪からパッシングを頂きました。
パッシングしてきた四輪は何台も。
「あれ?ヘッドライト点けたままだったかな?」
と考えながらカーブを抜けると、制服のお巡りさんが待ち構えていて「こっちに来い」のポーズ。

単車を降りて、折りたたみ椅子に座らされて、知らされました。
お巡りさん: スピードオーバーだよ
SUKIYAKI: あれ?50キロくらいしか出してませんでしたよ
お巡りさん: ここは30キロなんだよ
SUKIYAKI: そうでしたか..

お巡りさん: 東京のナンバーでどうしてここ走ってるの?
SUKIYAKI: 実家に帰省した帰り道でした
お巡りさん: そうか..(免許証の本籍を確認しながら)
お巡りさん: 捕まった思い出しか岩手で残らないのは残念だな
SUKIYAKI: 仕方が無いです..
お巡りさん: これから気を付けるように

罰金も減点も無い警告だけの切符で許してもらえました。
あれからは、速度の標識だけはちゃんと意識して走るようにしています。ネズミ捕りを見かけたら、対向車にウインクも。
既に二十年以上前の違反でしたが、世の中捨てたもんじゃないなぁって今でも覚えています。

現在はゴールド免許ですが、その後も東京にて幾度か単車で捕まっています。
一時停止を忘れて捕まったときも、素直な対応で許されるかと思ったら、しっかり罰金取られました。
これが東京なんだよなぁ。
ガァ

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