技術屋魂を擽る映画

技術屋に見て欲しい映画が幾つかあります。
一作目は「タッカー」でしょうか。
古き良きアメリカと言われた時代、新規参入のメーカーが斬新なアイデアの車を送り出した実話です。
タッカーとは、そこの社長の名前で、車のメーカー名でもあります。
新車のアイデアは斬新でしたし、現在では当たり前の技術にもなっています。
シートベルトや、フロントの合わせガラス(衝突時に鋭角のガラス破片が飛び散らない)等です。未だ一般的ではないステアリングを切った方向に向くヘッドライトなども。新技術のほとんどは「安全」の為でした。
構想は良かったのですが、合衆国では既に自動車産業の巨大資本というか大手が君臨しており、斬新なタッカーに対してあらゆる圧力をかけてきます。
主要部品のパーツメーカーからは次々に供給を停止され、量産化は遠のくばかり。
少しは集まった資本も、構想だけの詐欺だったのでは?というような裁判沙汰まで起こされる始末。
どうにか完成した数十台でしたが、最終的に積み込まれたエンジンは、ヘリコプター用のモノだったそうです。
二作目は「アポロ13」でしょうか。
アポロ計画で、最もドラマティックな実話だと思います。これは映画だけでなく、ジム・ラベルさんの原作も読みました。
当時はテレビも普及し、アポロ計画の実況中継も、既に真新しさに欠いていたそうです。
そんな中、地上から月に向けて飛び立ったアポロ13号は、主要部品の故障に見舞われます。
月面に降りる計画どころか、地球に戻ってくることも難しい状況に陥ったわけです。
この事故のお陰でアポロ13号は、テレビでも一躍エンターテイナー..。
発電が出来なくなった13号は、僅かなバッテリーの残量を計算したり、乗組員の吐く二酸化炭素の増加に悩まされたり、地球の大気圏に戻るための速度や角度の計算をしたり、勝手に回転しはじめた船体の調整にハマッたり。
もちろん、地上の管制とのやりとりも見物です。
ロケットの構造は、今でも大差ないのかもしれません。エンジン部分を徐々に切り離して、最後はコックピットの部分しか残さずに帰還。
大気圏突入に失敗すると、地球より外側に跳ね返されたり、大気の摩擦で船体が燃えてしまうそうです。
その直前に切り離された部分は、無残な情景だったそうです。
NASAのHomepageでも公開されているのを以前みましたが、何かのタンクの爆発で、船体の外壁が見事に抉り取られていたそうです。(軽く検索したところ、国内のサイトで同じ画像がありました:ページの一番下の画像
この部分を確認するのは、小さな窓から僅かに覗ける、大気圏突入直前の、切り離しの一瞬だけだったそうで。
もっと早く確認できていたら、やる気を失ってしまったかも知れません。
「見るんじゃなかった」みたいな。
自分のP125Xのエンジン内部も、見るんじゃなかった状態でして、「アポロ13」のその場面を思い出したりでした。
最初から知っていたら、落札しなかったオークションかなぁ。
まぁ、これも何かの縁です。
ガァ

コメント

  1. くみこ より:

    さすがSUKIYAKIさん、映画を見る視点がメカニックです!
    タッカーとアビエイターかぶる部分ありません?