売り出し中

自分の暮らすマンションで上のフロアが売りに出されました。
その値段にちょっと驚いてしまい。
自分がこのマンションを購入したときの値段の倍くらいになっていまして。

マンションの1Fと上のフロアでは1Fの方が安いそうですが、同じ間取りであればせいぜい数%の違いだそうです。
ただ、自分の暮らす1Fは室内面積に対してあり得ない程の庭の広さで。まして、この庭は外から単車を乗り入れ出来て、小さな花壇もあるので、趣味が合う人にはかなり魅力的だと思います。
2F以上の部屋は普通のベランダしか無く、考えようによっては1Fのこの部屋の方が売値は高いのかも知れません。

この件で幾つか脳裏を過りました。
固定資産税はまた上がってしまうんだなぁとか。
あの時買っておいて良かったなぁとか。
今じゃもう買えない値段なんだなぁとか。

そして、いま売ればそれなりのお金になるんだなぁとか。
自分としてはずっと暮らしたい部屋なのですが、また無職に戻る現状で貯金も僅か。
10年ローンの残りは2年半。家賃より安い月の支払いです。
この部屋を売って纏まったお金が手元に残ったところで、何処かで暮らす必要はありますし、それが賃貸だったとしても現在の月額並みになりそうです。
もっと安い部屋を買い直すという手もあるのですが、二十三区周辺では相当狭い部屋になってしまうと思います。

あと、安い部屋というのは全般的に住民の民度も低くなりがちで。以前に短期間暮らした安アパートは真上の部屋に劇団員が暮らしていて、明日も平日だというのに深夜までどんちゃん騒ぎが幾度もあり。
ハイソな住民を期待する訳ではないのですが、集合住宅暮らしであまりに社会常識からズレた人が紛れていると、居心地は極端に悪くなってしまい。
だいたい、この歳で今から賃貸暮らしに戻るのは危険にも思えています。保証人を立てるのも大変でしょうし。
ローンの返済は還暦前に完了したかったのも、当時この部屋を購入した理由の一つでもありました。自分の世代は定年後も返済が続くパターンが少なくなく、将来は少しくらい楽したく。

その辺を考えると、住み続けるべきだと思えます。
都心でも通勤に一時間掛からないエリアはやはり貴重でして。コロナ云々で東京離れがニュースにもなっていましたが、それが落ち着いたこの頃は中古マンションもまた上昇傾向らしく。
いっそのこと移住してしまうという発想もあるのですが、そこに仕事があるのか?が大前提で。
仕事の探しやすさについては、やはり東京が一番マシだと思っています。やり直しもしやすい土地だと思っています。
他所からの移住者にこれほど寛容な土地も少なく。

上のフロアには一人暮らしのお婆ちゃんが居たのですが、かれこれ一年以上観掛けていません。
昨年の排水溝点検の際、珍しく窓が空いていたので玄関まで訪ねてみたところ、近くで暮らす娘さんが現れました。
お婆ちゃんはずっと入院中で、恐らくもうこの部屋には戻れない様な話でした。
その時が来てしまったんだなぁと。
毎年小さな花壇で大きなヒマワリが幾つも咲くと、上のフロアのベランダから嬉しそうに声を掛けてくれたお婆ちゃんでした。「今年も綺麗に咲いたねぇ」と。
お婆ちゃんが暮らしていた頃も大きな音など立てることはなく、下のフロアで暮らす自分としては有難い住民でした。

これから東京近辺で家を購入する人は大変だと思います。
少子化云々で地価が下がるとの話は昔からあるのですが、東京だけはどうにも別格で。
「クジラは何故にあんなに寒い海域で暮らしているのか?」という問いに「そこに美味しい餌があるから」という回答がありました。単純明快で。
暮らしやすい云々の前に「そこに仕事があるから」な東京なのかもと思えています。
一極集中は問題だと自分も思っているものの、世界の著名な都市の中で東京は住宅価格も現在かなり割安らしく。結果的に海外からの買い手も多いらしく。

ただ、地方でも暮らして行ける収入な仕事があるのなら、自分の気持ちは傾くでしょう。
第一、一緒に暮らす家族は居ないのですし、自分のことだけ考えれば良いのですから。
第二に、そもそも東京への憧れなどもうほとんど残っていないのですから。
現在の仕事で久し振りに都心へ幾度か出てみたものの、お洒落な街も近代化したビジネス街も全く魅力を感じずです。
ユルく落ち着いた環境に身を落とすのが快適になってしまい、それは現在暮らす柴又界隈の古くからの参道だったり、江戸川沿いの昔から変らぬ懐かしい風景だったりで。

〆の言葉が上手く浮かばず。
そういえば、この新年の抱負は「出たとこ勝負」だったなぁと。
そのスタンスで何とか耐えた一ヶ月でした。

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