患者虐待のニュース

沼津の精神病院で入院患者が虐待されていたとのニュース。
記事のコメント欄を読むと、意外にも虐待したスタッフへの同情とも取れる書込みが少なくなかったです。

自分も高校時代のアルバイト先でそういった施設の方と一度だけ関り、対応に困りました。
総合結婚式場のボーイで働いていたのですが、施設のクリスマスパーティーに坂本九さんがやってくるとのことで、楽しみにしていたのですが。
当時、北海道ローカルで坂本九さんが主演の福祉向けの番組が毎週日曜日に放映されていました。その収録でした。
施設のお客さん達は何らかの精神疾患を持たれていた様子で、ドリンクを渡したら喜んでくれるのは良いのですが、袖を掴まれたまま放してくれなかったり。
中には突然暴れ出す巨漢を、複数名のスタッフで宥めたり。突然大声を張り上げるお客さんも居たり。

番組の収録中だったのもあるので、スタッフは穏やかな対応を終始。しかし、カメラが周っていない会場だったら、ここまで優しい対応を普段から出来るのかなぁと。
スタッフだって普通の人なのでしょうし、突然殴られたりしたらタイミングによっては怒りたくなる事もあるだろうに。
こういった福祉の仕事は自分に難しいだろうなぁと高校時代に悟ってしまった感です。

お客さんが皆穏やかな人だったら良いのですが、どうしてこれをしちゃ駄目とか伝わらない方も多いのでしょうし、怒りっぽく暴力に訴えやすいお客さんも少なく無いでしょうし。
言葉で伝わらないなら、腕力に訴えてしまいそうで。

この夏に他界した母も最期の一年は認知症で、色々と考えさせられました。
電話での会話ではリアルタイムの話は問題無かったのですが、少し前に伝えた話をスッポリ忘れていたり、全く別の意味に捉えていたりで。
それがどうにも相手を疑う傾向でやるせなく。
文章での会話なら以前の文字も残っているし、大丈夫かな?とメッセンジャーでやり取りをしてみたのですが、これも同様の結果でした。
少し上の行で伝えたことや、本人が綴ったことと正反対のことを綴り始める次第で。
母の認知症について叔母に相談したところ、叔母の方も最初は半信半疑だった様です。しかし、母とのチャットのやり取りを観てもらったところ、もはや否定のしようもなく。

自分は母と連絡を取るのを止めてしまいました。
というのも、母は記憶違いで怒ったり悲しんだりするばかりで。息子相手ですとそういった感情は抑えない傾向でもあり。
これだったら、連絡を取らない方が本人も幸せかと。幸い、母は要介護の認定も降りたので、行政の福祉からちゃんと見守られる流れに乗れましたし。
何かあればヘルパーさんや叔母経由で事実を知れましたし。母経由からの情報よりは余程確かで端的に伝わりましたし。

しかし、末期がんの発覚後いよいよ危ない状況になり、十年ぶりに再会した母にまた考えさせられました。
衰弱が加速していて、自分と再会した時も当初はかなり弱っていたのですが、凄い喜びようで。最初は驚いていて。
そして、数日で元気や気力を沢山取り戻し。
そんな姿に自分は泣けてしまい。自分は随分と酷い対応をしてきてしまったと。
葬儀が終わってからも罪悪感はしばらく抜けぬままで。
ただ、最期の再会にはあれだけ喜んでくれたんだから、少しは罪滅ぼしにもなったかもと思うようにしています。

母の件については身内だから許せた部分も、心配が離れない部分もありました。遠くで暮らしていたから色々な距離も稼げました。
これが今回のニュースの様な赤の他人相手だったら、仕事といえども愛情のある対応が自分に続けられるのか。
むしろ、全ての感情を殺さないとやってられないのかなぁとも。
介護関連の仕事に就く知人の話を聴いても、自分ではとても務まりそうもないよなぁと。
世の中で最も大変な仕事の一つに思えています。

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