自動車の町

ブリキの勲章?

ブリキの勲章?

浜田省吾さんの歌詞で「俺のような人生を、お前は選ぶな」というのがありました。
架空の父親像なのか、実存の父親像だったのか分かりませんが、自分でも使ってしまいそうな台詞ではあります。
広島出身の浜田さん、親は自動車工場勤務なのかと思っていたら、そうでもなさそうでした。

五年以上前、自分も自動車を作る町に住んでいました。
自動車メーカーの下請け会社で、自分はIT系の仕事に就いていました。
景気の見通しがつかない北海道を離れ、何の縁もないものの、国内で僅かに景気の良かった町に流れ着いていました。

我慢を続ければ、一生暮らせたかもしれない土地でしたが、我慢以外に何も残らないと見切りをつけ、フェアな東京に自分は戻りました。(いまでも、東京はフェアだと思っています)
仕事上では下請けへの圧力、町の公共施設とも思える場所は大企業のテリトリー、大企業の子弟さん達までカースト制のようで。
ここで家族を養うなら、大企業の本社で良い地位じゃなければ、悔しい思いをするだけと思えました。
我慢するのが自分だけだったら、まだ我慢出来たのかもしれません。
そんな町でした。

バブル卒業組みの自分だったので、新卒時は自分から選べた大企業だったのかも知れません。同世代全てにいえます。
最初からレールに乗っていたら、弱いものいじめみたいな体質に疑問も持たず、未だ他人事だと思えていたのかも知れません。
地方の大学を出た高校の同級生に接待をしなければならなかった場面等、社会人なのですから、少なくともお互い敬語でありたかったです。(上司が敬語を使う以上、仕方なかったです)

当時仲の良かった女性に言われたんです。
「うちの父さんより、母さんの方が収入いいのよ」
「母さん、市役所に勤めてるから。父さん、孫受けの工場で安い部品作ってるから」
「父さんの方が、苦労しているのに」
週末はトヨタの小さな車で、そんな話を聞いてばかりでした。

一番安い製品でも、高級品と変わらない品質を貫いていたとも思えるその大企業、間違いの無い買い物と当時から思っていました。
これだけは、褒められると思っていました。

数ヶ月前に読んだニュース記事では、その大企業が赤字転落で、町の税収も危うい状況に陥ったそうです。
本日の三割カットの記事で、また思い出しました。

頑張れ父さん!
ガァ

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