なんだぁあいつぁー

一週間ぶりくらいで、いつものしょっぱいラーメン屋さんに寄りました。
昨夜は閉店時刻に間に合わず、ラーメン屋のオヤジと駅前ですれ違って。
すれ違いざまに、ガッツポーズを受け、ちと驚かされた次第です。
入り口で食券を買い、コップの置かれたカウンターに座って間もなく、隣のお客さんのラーメンが出来上がりました。
カウンター越しに置かれたラーメンを、両手で掴んで目の前に置こうとした隣のお客さんは、どんぶりを中途半端にひっくり返しました。
運悪く、スープは自分目掛けて飛び散ってきました。
仰け反るアフロに、引っくり返した張本人は冷静。
オヤジ:服、だいじょーぶかい?
アフロ:作業着ですから、だいじょーぶっすよ。
オヤジ:んなこたぁねーだろ。
アフロ:まぁまぁまぁ
何も言わない隣のお客さん。終始冷静。
カウンターの内側からオヤジがこちらに回って、どんぶりの中から飛び散った残骸をしゃがんで片付けていました。
カウンターの中に残った若い板さんは、オヤジのあいづちで、新しいラーメンの作り直し。
オヤジは「ここ片付けるから、奥の空いてる席に座っててネ。いま、作り直してるから、大丈夫だよ」と。
それでも無言の、隣のお客さんは、自分の反対側の席に座りました。
どんぶりに戻された麺だけが、気の毒に湯気を上げていました。
自分のラーメンとお隣さんのラーメンは同じタイミングで出来上がった様ですが、お隣さんのラーメンが先に登場。まぁ、これが江戸っ子の粋な世界に違いない。
やはり、何も言わないお隣さん。
どんな人なのか、ちと隣を見てみました。
お洒落でカジュアルな細く青白い男でした。
自分より少し早く食べ終わったお隣さん。
か細い声で「ゴチソウサマ」と残して店の引き戸を抜けた途端
オヤジ:なんだぁあいつぁー!
アフロ:ひ ひとこと…
アフロ:ほしかったですよネ..。

コメント

  1. ミナ より:

    げっ!し、信じられない…その人。
    人様に迷惑かけて「ごめんなさい」とか「ありがとう」の言葉一つも発せられないのかお前は!…まったくもって有り得ない。
    ヤケドしませんでしたか?とんだ災難でしたね。
    「災難」も何かしらの言葉があれば気持ち和らぐこともあるのに。
    せっかくのオヤジさんの気持ちも届いてないのかのようで、何だか寂しいというか悲しいというか…。
    何も言えないくらいテンパってたなら、ラーメンなんて喉も通らないでしょうしねぇ(毒っ気たっぷり)
    私が親ならその場でゲンコツですよ!
    って、私が熱くなったところでどうしようもないか(汗)

  2. SUKIYAKI より:

    あの冷静さというか、ドライさには逆に恐れ入りましたよ。
    自分がその立場だったら、店員さんと他のお客さんに謝り続けたと思うので。
    火傷は無かったのですが、ブレザーがちと醤油ラーメン臭ですネ。
    お客さんの陰口は良くないのでしょうけれど、あれでは仕方なかったと思います。
    店内のちょっとした緊張感、「なんだぁあいつぁー!」の一言で解けた感でした。
    脱いだ靴の裏で、頭引っ叩いてやりたかったのが本音です。>ミナさん
    ガァ