寄り道

昨夜のこと、思い付いたことが一つ。
分籍しようと。

「分籍とは、戸籍の筆頭者およびその配偶者以外で成年に達している人が、その在籍している戸籍から抜けて単独の戸籍を編製すること」でして。

自分の本籍は数年前に謎の土地に何の前触れも無く変更されていました。
母と養父が離婚したのは十年以上前で、養父は養子縁組を終わらせる書類を送ってきたものの、自分は無視を決め込んで。
その後に母はまた養父とよりを戻したりで。結局また別れたのですが、自分は振り回されなくて良かったなぁと。

まぁしかし、何かの機会に戸籍謄本を取り寄せるのはかなり面倒な場所で。
例えば、切らしてしまったパスポートの申請には戸籍謄本が居るそうで。
その内、本籍だけでも自分の住所に移したい気持ちはありました。

七月に母が亡くなり、出身地の千歳市とも縁が無くなり。
昨日のこと、叔母ともその話題になり。
その後に色々と調べて、分籍しようと決めまして。
分籍には戸籍謄本と申請書が必要だそうです。本人が成人であれば本人以外のサインが不要だそうで。

栃木の那珂川に自分の本籍が。そこの役場までは片道150km。下道で行くにしても高速を利用するにも結構な距離でした。
郵送でも依頼できるそうなのですが、手間も時間も掛かります。
平日の時間がいまなら十分あるので、思い立ったが吉日で明日行こうと。

そして本日起きたら時計はお昼を回っていました。
明日にするか。とも思ったのですが、夏日は今日までで明日からは関東も冷え込むそうで。
13時丁度に単車で出発。

小さなナビに設定した行き先、到着時刻は16:30だそうで。
往路は下道のつもりでしたが、これでは役所に間に合わないかも知れず、久し振りに高速を利用してみました。
外環道の流れは良かったものの、横風で隣り車線まで流されそうな場面もあったり。高架ですと、横風の影響がやはりあり。
東北道以降は車線も多く、横風も僅かで助かりました。
自分の単車は250ccのスクーターなのですが、快適に走れる速度は110km/hくらいまでの様です。
それ以上ですと風圧もキツく、エンジンも不快よりな振動を伴ってきて。

高速を降りてからも下道は結構な距離。
ただ、信号も渋滞も少ない田舎道でしたので、案外快適でした。
役所の到着は15:30。
窓口の綺麗なお姉さんに事情を説明し、戸籍謄本は直ぐに頂けました。

ついでだから、この本籍の住所にも行ってみることに。
ナビを再びセットしたところ、単車では15分ほどらしく。
地名の那賀川はけっこう綺麗な川でした。長い竿で釣りをしている方もチラホラ。

そして、ストリートビューでしか見たことの無かった家に到着。
周りは畑でソーラーパネルも沢山敷き詰められていて。野菜を作るよりそっちの方が儲かるのかな。
到着の直前にあぜ道で養父らしき人物とすれ違いました。
筋肉質だったシルエットは随分と細くなったもので。
自分はヘルメットを被っていたので気付かれなかった様子です。
ゴミ捨て場のある幹線道路までゴミを捨てに行くような姿でした。

細い道から玄関に辿り着くにはちょっとした崖の獣道みたいなルートを通過するしかなさそうです。(帰宅してからストリートビューで改めて確認したところ、車で敷地まで入れるルートがありました)
電気と電話の線は繋がっていました。しかし、ガスと水道があるのか謎で。
離れの納屋には薪が山積みされていて。
玄関には養父の名前の表札が。
やはりここで暮らしていたのか。

長居していたら戻ってこられそうなので、三分程で単車を置いた道路に戻りました。
会ったところで、何を話して良いのかも分かりませんし、下手をしたら喧嘩になり兼ねず。
母が亡くなったことも伝えるつもりなど無く。
ナビの目的地を自宅にセットし、帰路へ。

色々と考えてしまった帰路でした。
老後にポツンと一軒家みたいな生活を楽しみたいのなら、あんな生活もありだろうなぁと。
しかし、かなり寂しい場所でした。
どうしてまたこの場所を選んだのか謎です。
田舎であっても、生命力を感じる風景というのはあったりします。
残念なことに、それが無く。
他に見掛けた人も元気に乏しい高齢者ばかりで。

晩年の母も結局は一人寂しい生活でした。
お互い寂しい一人暮らしになるのであれば、喧嘩が多くともあのまま別れず二人で暮らした方が潤いも幸せもあっただろうにと。

二十歳の頃、単車で東京から千歳まで帰省した際も、帰り道で実父に再会していました。
函館のあの街も灰色の空に灰色の町で。昔は賑やかだったらしい痕跡と。
あそこから生まれた人気バンドがグレーという名前なのも偶然なのか。

自分の暮らす柴又は春夏秋冬どの時期も綺麗な花が何かしら咲いていて。
健康で文化的な町。大切だと思います。
誰もが目にするささやかな彩りに人の暖かさがあるのだと思います。

帰路の途中で食事を。
そこで、現地の写真付きのメッセージを叔母に送りました。
返信を待たずに残りの帰路に。

自宅に到着したのは19:30でした。
下道だと片道三時間半でした。
ともかく、半日で往復できる距離で助かりました。

久し振りの長距離、ガタガタの身体に発泡酒が染みました。
その後のシャワーも気持ち良かったです。
明日は地元の区役所に行かねば。

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