ピノキオ

幼少期に観た実写版ドラマのピノキオが印象的でした。
海外で撮られた作品、終始切ない雰囲気が漂っていて。
僅かな記憶は断片的なのですが、曇り空の風景と湿っぽい土地や家の中、巨大なクジラのお腹の中くらいです。
ただ、ラストシーンでは希望だった人間の少年にやっとなれる感動もあったような。

実は、二十年ほど前にもこの作品が何だったのか検索していました。
たまたま寄ったHomepageで、自分と同じようにこの作品を探している女性を見掛けたのですが、同じく誰のどんな作品だったのか知る術を持たず。NHKの夕方の放映で観ていた記憶も自分と一緒でした。

それが、今夜何となく検索したところ、Wikiであっさりと解決しました。
1974年にテレビ放映された作品だったらしく。当時の自分はまだ幼稚園生だったのか。

レビューを読んだところ、実は大人も感動する作品だった様子です。
しかし、AmazonでのDVDの販売価格はやたらと高価。これでは観れる機会が無さそうです。
Youtubeにもそれらしき映像が幾つか残っていましたが、やはり切ない雰囲気で。
ただ、自分の記憶と違って、普通の見た目な少年が映っていました。
あれれ?普通の見た目では無かった記憶なのですが。

幼少期の自分は、何を楽しみにこの連続ドラマを観ていたのだか。
ともかく、不安ばかりの場面だったハズなのに。
原作では現代でいう差別用語が多く含まれていたらしく、1976年に回収騒動もあったそうです。
『「びっこのキツネ」「めくらのネコ」という箇所に気づき、その点を指摘しながら「五体満足で利口な主人公を『期待される子供像』として描いている反面、他の障害を持つキャラクターを社会の落伍者として描いており、差別を拡大助長させる童話であり看過できない」と出版社に抗議した』との説明。

社会的落伍者は確かによろしくない表現なのですが、現実には似たような差別があります。
そんな立場の方を守ってあげられる世の中であるべきで、それを封じてしまうのは逆に現実を隠してしまってはいないかなぁと。
ベトナム戦争の跡を追い、田舎の村を取材したドキュメンタリーを過去に観たのですが、枯葉剤による奇形で五体満足ではない少女が周りの住民や子供達の支えで幸せそうに暮らしていました。
高等教育を受けられないような土地で、本来の人間の助け合いが生きているのは大切だよなぁと。

自分の子供の頃は身の回りに障害者がそれなりに居ました。
知的障害の同世代も居れば、顔面が崩れた大人も居れば、両腕が短い綺麗なお姉さんも居れば、何しでかすか分からない乱暴な精神障害者も居れば。
実際、それでちょっとした事件になってしまうこともあったのですが、逆に地域の目が光っていました。
子供や弱者が危ない場面に出くわしたら、地域の大人達が助けてくれて。見て見ぬふりなんて無く。
特に自分のお母さん世代な女性達は、こんな場面を無敵で対応してくれました。

ああいった表現を隠してしまうのは、現実に生きている一部の方の存在さえも隠してしまいがちなのかとも思える次第です。
むしろ、子供のうちから知っていた方が良いのではと思えたりでして。
歴史に名を遺す芸術家とか、現代でいう精神障害者だった例も多いようなのですが、恐るべき才能を秘めていたり。
特異とも得意とも呼べる才能なのですが、そういった伸びしろくらいは残してあげて良いのになぁと。
封じ込まれてしまったら、何も残せずでして。

コメント

  1. ルノワールS藤 より:

    子供の頃に観た記憶の「ピノキオ」の実写版、俺も探しているんだけど、未だ巡り合わず。
    TVで観たということと、画面が暗くてすごく怖かった記憶しか手がかりが無くて。
    もしかしたら、これがそうなのだろうか?

    • SUKIYAKI より:

      恐らく、これだと思います。NHKのドラマでしたら全国放送も多く。各国でレビューも少なくなく、思い出深い作品だった様子。
      Youtubeではドイツ語版だったかで全編観れる様子で、昨夜ちょっとだけ覗いてみました。何喋ってるんだか分からないものの、演技で伝わる力作でした。

      子供の頃に読んだ本とか、小学校の教科書含めて読み返したい作品が幾つもあって、こういったのは図書館で所蔵してほしいなぁと。
      インターネットも二十年前とは情報量が違う感です。